The brand in bloody

□02.異形の誘い
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どくん、どくん、どくん、どくん・・・

「はっ、はぁ・・・は・・・はぁっ・・・」

生暖かい鉄の臭いを放つ赤い液体が、世界を侵蝕する・・・。

息が・・・止まる・・・。

「晋浬!!」
自習室の扉が盛大に開け放たれ、ジャージに身を包んだ那砂が飛び込んできた。

覗いて正解だった。
那砂は、教室の鍵の閉め忘れに気付いた教師に頼まれて確認しにきたのだ。
その帰りに自習室を覗きにやってきた。
何か嫌な予感が胸にざわついた、その直感を信じて良かった。
「晋浬、おい晋浬!」
「はぁ、はっ、あっ・・・」
那砂の声が届いていない。
晋浬のその見開かれた視線の先を見遣ると、そこにはそれほど大きくない血溜まりが出来ていた。
「何だこれは!?」
晋浬の血かと思い、咄嗟に彼の身体を調べるが、何処からも出血していない。
とにかくこの血溜まりから晋浬の視線を外さなくてはならない。そして、一刻も早くこの場から遠ざけなくては・・・。
那砂は晋浬の目を手で覆い、彼を抱えて廊下へと出た。
乱れた呼吸を落ち着かせるために、背中を摩る。
「晋浬、聞こえるか?大丈夫だ、もう何もないぞ」
「はぁ・・・はっ・・・はぁ・・・」
「俺の声、聞こえるよな。那砂だ。ちゃんと俺はここにいるから」
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