The brand in bloody

□02.異形の誘い
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「はー・・・はぁ・・・・ふぅ・・・」
那砂の腕を掴む晋浬の手の震えが弱まる。
「もう大丈夫だ・・・。一人じゃない、俺だけを見ろ」
晋浬に自分が見える位置に座り直す。
「はぁ・・・は・・・那・・・砂・・・」
「あぁ。ちゃんといるよ」
揺れる瞳が晋浬を捕らえる。
乱れた呼吸を必死に整える。そして、何とか話せる状態になった。
「・・・那砂・・・、何でここに・・・?」
「教室の鍵を掛けに来たついでに来たんだ。・・・話せるか?」
躊躇いながら訊ねる。
晋浬に今の状況の説明を求める事は、血を見た記憶を思い出させる行為だ。
本当はこんな事はしたくないが、今は彼しか何が起こったのか分からない。
「・・・シャーペンを・・・落としたんだ・・・。それを拾おうとして・・・探したけど、無くて・・・」
「うん」
搾り出すような声で、必死に話す晋浬。
「・・・諦めて席に戻ろうとしたら・・・・・・うっ・・・」
口元を押さえて何とか発作を押さえ込む。
「分かった、もういいよ保健室に行こう。立てるか?」
「・・・あぁ・・・」
ふらつく足元。那砂は彼を支えて保健室へと向かった。


3

保健室に到着し、扉を開ける。
だが誰もいない。
「あれ・・・今日も居ないのか?夏紀先生」
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