The brand in bloody

□03.赤き追憶
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那砂の声は途中で遮られ、由乃の緊迫した声が響く。
「え、えぇ。居ますけど…」
『なら、絶対に皆離れないで!絶対に1人になったりしないで』
「どういう…」
『いいから!あと、何か“変なモノ”を見たら、急いでその場から逃げなさい。出来れば貴方達には家で待機していてほしいけど、そうも言ってられないわ。私が言った事、必ず守るのよ!』
「ちょっ、由乃さん!?」

那砂が口を挟む間も無く電話は切られてしまった。
回線の切れた携帯を呆然と見る。
「那砂、由乃さん何て?」
凪叉が間髪入れずに訊ねる。
「あぁ…。全員絶対に離れるなってさ。あと、“変なモノ”を見たらすぐに逃げろって…」
「は?どういう意味?」
「俺にも良く…。何かヤバい事になってるっぽいかな…」
「……」
汐伽にまた不安な表情が浮かぶ。
那砂はそんな彼女の肩にそっと手を置き、不安感を取り除かせる。
「とにかく、効率は悪いけど固まって探すぞ」
「了解。行こう、汐伽」
そっと微笑んで、汐伽の手を引く凪叉。
「うん…」
3人は、夜の街へと走り出した。



街へと着いた由乃と朱威は、車を人通りの無い通りへと止めて車外へ出る。
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