The brand in bloody

□03.赤き追憶
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街中へと入った時に朱威が感じた“異変”。
街の空気が微妙に異質な物に変化していた。
一般人には分からないこの異変は、とても恐ろしいモノの予兆だ。

この街の何処かで、“侵蝕”が始まる。

その予兆が今起こっている。
大通りには居なかったが、この入り組んだ裏通りには“居る”。
血の中から湧き出す、“異界の住人”が。
腐敗した人間の身体の一部が無茶苦茶に融合した“命の失敗作”が。

「これ、余波ですよね…。マズいですよ。すぐにでも侵蝕が始まる!」
朱威が道端の血溜まりを見て焦る。
「えぇ、街まで侵蝕の余波が及んでいる…。これは大きいわ…。朱威君、晋浬の居場所、分かる?センスが一番反応するのは何処?」
そう言われて朱威は目を閉じ感覚を研ぎ澄ませる。
暫し精神を集中し、“異界”を感じる。
…だが。

「…分からない。この街の至る所から同じような反応がしてて、探れない…」
「嘘でしょ…最悪の事態じゃない!街の人たちが巻き込まれるかもしれない。“組織”に連絡して、応援呼ぶわ」
「お願いします」
由乃は車へ戻り、何処かへ連絡を取る。
その間、朱威は思考を巡らせる。

晋浬の行きそうな場所は何処だ…?
学園には居ない。怪異から逃れる為に、彼は何処へ逃げる?
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