The brand in bloody

□03.赤き追憶
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『晋浬が“前に住んでいた家”だ。あそこには6年前以来近寄らないようにしてた場所だけど、もしかすると…』
「…そこだ!分かった、ありがとう。那砂達はもう家に帰りな。いいな!?」
『おい、朱威!』
何かを言いかけた那砂の言葉を遮り、ブツッと通話を切った。
「由乃さん!晋浬が前に住んでいた家はどこです!?そこに、晋浬が居る!!」
連絡を終えた由乃に叫ぶように言い放った。
それを聞いた由乃は、ハッとしたような表情を浮かべ、唇を噛み締めた。
「乗って!早くしないと間に合わない!!」
朱威を車へ急がせ、目的の場所へと急発進した。



-2-


閑静とは違う、人の気配がしない街の一角。
切れかけの電灯が、チカチカと無機質な光を不快に瞬かせている。
異様なほどに冷え切った空気が、この場を異質なモノへと変質させていた。

屋敷とも言えるほど、大きな家。
洋式で、この場には釣り合わない雰囲気を放つこの家の前に、晋浬を探していた由乃と朱威が到着した。

「……晋浬」
呟く由乃の目前に、彼女達の探していた者が居た。
薄暗闇の中、此方に背を向け佇んでいる。
「晋浬……?」
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