The brand in bloody

□03.赤き追憶
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「いいわ、貴方達も此処に居なさい。でも、何があっても決して目を背けないで、しっかり見て。全てを」
彼女の気迫に、那砂達はただ覚悟を決めて頷いた。
それを確認し、由乃は再び晋浬へと目を向けた。
そして、再び彼の名を呼んだ。

「晋浬、こっちを向いて。迎えに来たのよ…?」
「……」
「さぁ、帰ろう?家に」

「……俺の家は…此処…だった……」
「!」
抑揚の乏しい声を発する。

「6年前まで……此処に住んでた…」
「…晋浬」
晋浬が話す度に周囲の空気が変質してゆく。

「あの日…俺は母さんに反抗して……壊れかけてた母さんが…とうとう壊れてしまった……」
由乃達の周囲に、どろりとしたモノが流れてくる。
その中から“何か”が蠢いている。

「母さんを壊したのは俺……もう…我慢出来なかった……。俺に“彼”を重ねる母さんに……我慢出来なかった…」
「晋浬…!」
血が、出てくるはずがない場所から溢れ出してくる。
そこから、腐敗した人間の躯が這い出してくる。
「!!?」
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