The brand in bloody

□04.覚悟
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「よっ!晋浬、具合どうだ?」
「朱威かよ…」
晋浬はこの状況を止めてくれる人を期待していたのに、期待はずれの人物だった為にかなりがっかりしていた。

「何だよ!そんながっかりするなよ…」
つられて朱威までがっかりする。
「あっ、式野君じゃん。仕事はどう?」
朱威に気付いた凪叉がひらひらと手を振る。
「おぉ。仕事はまぁまぁだよ。さっきまで撮影してた」
「お疲れ様、朱威君。座って?」
汐伽が椅子を出して彼を招き入れる。
「あ、どうも。お邪魔します」
「……」
目の前で展開される、まるで家での団欒のような光景に少しイラッとする晋浬。
それに全く気付かずに楽しげに話をする凪叉と朱威。
その様子にさらにイラッとする晋浬。
そんな彼に唯一気付いた汐伽が晋浬を引いてベッドに座らせた。
「抜糸…痛かったんだよね…?大丈夫なの?」
座る晋浬の前に立ち、心配した様子で話す。
彼女を見上げて、ふっ、と微笑む晋浬。
「大丈夫だよ。あんな糸に俺が負けるか」
「ふふっ。そう、良かった!…ちょっと、いいかな」
「何?」
汐伽は少し躊躇って、晋浬の左手に触れた。
そして、しばらく握る。
「…あったかい」
「え?」
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