The brand in bloody

□06.異界
2ページ/33ページ

そんな二人に那砂が呼びかける。
「そこのお二人さんー。じゃれ合ってないで早く来いよ」
「別にじゃれ合ってない」
即否定する晋浬。
「まぁ、朱威の転校初日よりは女子達も落ち着いたけど、お前らは一般人にとってはすごい存在なんだぞ?天然記念物並にな」
「誰が天然記念物だ」
眉を顰めてムッとする晋浬。
「…で、今日は何すんの?俺ここでは初めての体育なんだよねー。というか、まともに授業受けるのが初めてなんだよね」
妙に威張る朱威に晋浬から冷やかな視線が送られる。
「…お前……アホか?」
「アホじゃねぇ!」
そんな遣り取りを見て、那砂は嬉しかった。
朱威が来てから、晋浬が表情を崩す事が多くなった。
これは良い兆候だと、彼は思っていた。

「えーと、今日はサッカーだよ」
「サッカーか…いつぶりかなぁ俺。晋浬は?」
「え?」
振られるとは思っていなかった話題に、思わず戸惑う。
するとパンという頭を軽く叩く音と同時に短い悲鳴が朱威から漏れた。
見ると那砂が“笑顔で”朱威を殴っていた。
そして晋浬を引っ張ってさっさとチーム分けへと入ってしまった。
「ちょっとまっ…!」
「おーい式野―。お前こっち」
「え!?あ、はーい」
他の男子に呼ばれ、そちらへと走っていく。
それをぼうっと眺めている晋浬に、那砂が訊ねる。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ