Scarlet of Alice

□01.紅い兎
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世界第一位の文明を有する大都市、「エリエレリー」。
巨大ビルが立ち並ぶこの都市に住む17歳の少年、“奏(そう)藍(らん)泉(いずみ)”。
彼には他の人とは異なる部分が数箇所ある。

それは外見。
この世界ではあまりに珍しい、美しい金の髪。
色素の薄いその金糸は光の具合で光り輝く。
そして瞳。
深みのある紅の眼は一度目が合うとそう簡単には逸らせないだろう。
この外見から、異種族の血が混ざっているのかと聞かれるが、そうではない。
ならばなぜこのような容姿なのかと聞かれれば、その理由は本人にも分からない。
遺伝なのか、突然変異なのか、それを確かめる術を彼は持っていなかった。
彼には親が居ない。
写真も何も無い。
親族も居ない。
そのため、彼は友人の家で暮らしていた。
そして今日も、その友人・・・いや、それ以上。
親友の嘉瀬(かせ)未来(みらい)と共に帰宅の途についていた。

「なぁ、泉。やってみたら?」
未来が泉の少し前を歩きながら話しかける。
「嫌だよ。何で僕がそんなこと・・・」
「そりゃスカウトされるってば、その身長とヴィジュアルじゃあ」
二人の話している内容。
それは、昨日の学校からの帰りに、泉がモデルにスカウトされたことから始まった。
泉以上に喜んだ未来が、入れと急かすものの、泉はそんなものにはさらさら興味が無く、断る気満々なのだが、未来が引きとめているという状況が続いている。
「僕は別にそんな他人の評価には興味ないし、写真とかも嫌いだから・・・・」
「あーもう!もったいねぇってそんなの!」
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