Scarlet of Alice
□03.白兎
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エリエレリー標準時刻、午後19時26分。
一発の銃声が都市に響いた。
泉が姿を消してから1時間後のことだった。
「・・・泉、何処行ったんだ・・・!!」
未来は妙な胸騒ぎがして、いなくなった彼を血眼になって探した。
彼がいなくなる前に見ていた方向を目印にとにかく走り、あらゆるところへ視線を走らせた。
どうしてこんなにも必死なのか・・・。
自分にもよく分からない。
だがとにかく嫌な感じがしたのだ。
何もないならそれでいい。
でも、泉は何も言わずどこかへ行くようなことはしない。
人を心配させるようなことはほとんどしない人間だ。
その泉がこのような行動を取ったことに対して不安を感じる。
そして何より、異様な光を見せていたあの紅い瞳。
何かがあることには違いなかった。
走って走って、いつの間にか全く来たことの無い路地に入っていた。
夜の暗闇も相まって、不穏な空気が周囲を包む。
建物の隙間から見える月が異様に大きく感じた。