Scarlet of Alice

□04.笑わない人
1ページ/4ページ



「ちょっと待ってろ」
施術室の前に泉を残し、シュウが先に部屋に入っていった。
中からぼそぼそと話し声が聞こえてくる。

しばらく会話が続いた後、扉が開き、シェルが出迎えた。
「おまたせしました。どうぞ中へ」

招かれ、恐る恐る中へ入る。
しかし、自分が予想していたものは無かった。
泉はここに、自分の満身創痍の躯が置かれていると思っていた。
だがどこにもそれは見当たらない。
そこにあるのは大きなベッドと、医療機器がずらりと並んでいる。

部屋の様子を観察していると、奥の部屋から白衣を着た背の高い青年が出てきた。
見た感じはとても好印象を持つ。
「アリス、お目にかかれて光栄です。僕はトリックと申します。以後お見知り置きを」
丁寧に一礼するトリックに、こちらも改まって礼をする。
「よろしくお願いします」
この様子にトリックは少々驚く。
「おぉ・・・、何とも礼儀正しいお方ですね。これまでのアリスにはいなかったタイプです」
シェルが少々苦笑いをする。
ここでシュウが部屋を出て行こうとした。
「・・・シュウ?」
泉が問うと、シュウはふと笑みを見せた。
「!」
これにシェルが目を見開く。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ