Scarlet of Alice
□05.騎士族
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・・・・・乏しい街頭。
・・・暗い路地。
周囲に漂う火薬の匂い。
無数に散らばる銃弾。
「・・・・・」
未来は呆然と目の前で起こった一瞬の出来事を眺めていた。
泉を連れて行った男と別れてすぐに、自分の背後で一発の銃声がした。
振り向くこともできなかった。
恐怖、驚愕、何も考えることができなかった。
銃声に身がびくんと痙攣し、撃たれたと思った。
だが、自分は無傷だった。
そして後ろを振り返ると、目の前に自分を庇うように立っている女性がいた。
彼女は前に突き出した左手をゆっくりと開いた。
すると、カランと軽い金属音を立てて、薬莢が地面に落ちた。
・・・素手で掴んだ!?銃弾を・・・?
だが彼女は怪我ひとつしていなかった。
その後、彼女は腰のストラップから素早く銃を出し、前方に向けて十数発撃った。
「!」
思わず目をつむる。