Scarlet of Alice
□02.不思議の國
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「・・・僕は一体・・・」
「お目覚めになりましたか、“アリス”」
気付かなかった。
ベッドのすぐ脇に一人の少年がいたことに。
彼は黒いスーツのような、ゴシック調の正装を着ていた。
その佇まいはいかにも紳士。
しかし、外見でいえばおよそ自分と変わらないであろう年齢だ。
白銀の髪が眼を引く。
「あなたは・・・?」
「申し遅れました。僕はシェルといいます。僕は貴方に仕える者です」
「仕える?」
意味が分からない。
仕える・・・?
自分に?
別に僕は高貴な出身ではない。
人に仕えてもらうほど偉くはない。
「ちょっと待ってください、僕に仕えるって・・・どうして?僕は偉くもなんとも無いし・・・それにここはどこで・・・」
「貴方は“僕たちの全て”ですよ。“アリス”」
聞きなれない呼び名。
「アリス・・・?」
突然そう呼ばれて戸惑う泉。
「え、あの・・・僕は“アリス”なんて名前じゃないですし・・・何より僕は“男”ですよ?」