Scarlet of Alice

□04.笑わない人
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「ちょっと着替えてくるだけだから。この姿のままでいられねぇだろ」
血まみれの服を指して話す。
そういえばまだこの姿のままだった。
「うん」
「じゃあ、後でな」
ひらりと手を振って部屋を出ていいった。

「・・・あのシュウが・・・笑った・・・」
シェルはありえないものを見たような驚き様だ。
「・・・初めて見ましたよ、彼が笑ってるの・・・」
トリックも同様だった。
「え・・・、そんなに笑わないの?」
この質問に二人は同時に

「えぇ!それはもう無愛想極まりないですよ」

と叫んだ。
その声の迫力に思わず気圧される泉。
「アイツは本当に笑いませんよ。すぐ怒るし、眉間にしわを寄せている顔しか思い出しません・・・」
シェルは驚きを通り越して動揺している。
「あんな笑顔を見せるとは・・・。アリス、貴方は本当にすごい方です・・・」
トリックはもはや感心している。

こんな言われ様のシュウだが、泉にはそんなに嫌な感じの人には思えなかった。
「確かに、口は悪いですけど、そこまでひどくはないと思う」
キッパリと話す泉に、二人は初めはぽかんとしていたが、ふっと笑みを零した。
「そうですか。あれだけひね曲がった性格のアイツに気に入られる事は本当に今までに無かったことですよ。これは誇っていいと思います」
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