Scarlet of Alice

□08.猫と兎
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敵を目前にし、何かのスイッチが入ったようにシュウの雰囲気が一気に変わる。
凄まじい殺気が体を刺す。
「ちょっと待てよ。今日は別に殺り合いにきたんじゃないんだが」
「・・・あ?」

シュウの殺気に味方であるシェルたちも気圧されるというのに、この少年は全く身動ぎもしない。
むしろ余裕さへ伺える。
「まぁ、別に殺ってもいいが・・・、今は“彼”を探すほうが先だ」

これに顔色が一変するシェル。
「“彼”って、まさか・・・!」

「スカーレットがここに来てる」
「何だと!!?」
この短期間の内に敵の親玉の侵入を許してしまっていた。
「くそっ・・・!ふざけんなよ・・・・」
自分の不甲斐無さに腹が立ち、拳を握り締める。
「で、俺らはご主人様を探しにきたんだ。多分今頃、新しいアリスの所にでも居るんじゃないのか・・・?」
それを聞いてシェルが今まで見せたことがない激昂の表情を浮かべた。

「どけ!!」
「っ!」

強風が敵の二人に襲いかかり、目に見えぬ速さでシェルが部屋から出て行った。
「・・・早」
それを呆然と眺めている少年。
「何暢気なことを言ってるのですか。早く追いかけますよ」
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