ヒロアカ

□ごっこ遊び(その他視点)
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子供の頃から大切で、大好きだったあの子。
ずっとずっとあの子は俺の宝物で、俺の世界の中心だった。

俺は、あの子も知らないあの子の『秘密』を知っている。

あの子の秘密に最初に気付いたのは、あの子と仲の良かった、名前も知らない年上の男。

その男はあの子の秘密に気付いた時、あの子の秘密が周囲にバレないように、あの子に細工を施した。
自分の知り合いと一緒に、あの子の身体を真っ赤な血に染めて。

まだ子供だった俺は、泣き叫ぶあの子とあの子を押さえつけるその男とその知り合いを、ただ見ていた。
怖くて怖くてただ怖くて、俺はガクガクと身体を震わせて、ただ泣いていた。ただ見ている事しかできなかった。

痛くて怖い細工をし終えたその男は、細工を手伝った自分の知り合いを手に掛けた。
少しでも、あの子の秘密が他に漏れないように……。

そしてその男は、俺達の前から消えた。
あの子の秘密が、秘密のままであり続ける事を願いながら……。

幸か不幸か、あの子はその時の事を覚えていない。
その男の事も何もかも忘れて、あの子は自分の秘密にはこれっぽっちも気付かずに過ごしている。

いまは、俺だけが知っているあの子の秘密。
それを守るために、あの子を守るために、俺は今日も明日も明後日も、あの子に嫌われ続ける。

本当は、嫌われたくなどないのだと、心の中で叫びながら……。


 
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