ソードアート・オンライン Again

□第10話
1ページ/5ページ

前回よりも早く56層をクリアして、既に階層は60層に到達している現在、キリトとアスナはまだ圏内事件が起きていないという事に気がつくも、そもそも圏内事件はまだ先の話であった事を思い出し、安堵していた。


アスナ「それにしても圏内事件かぁ…ヨルコさんとはまたお知り合いになりたいねー」

キリト「だな、カインズやシュミットとも……あれ?そういえば圏内事件ってまだ先の話ってことは、聖竜連合にシュミットってまだ引き抜かれてないよな?」


圏内事件がまだ先の話なのであれば、あの事件のそもそもの原因であるギルド黄金林檎はまだ存在しているのではないか、と考えた。

聖竜連合にシュミットはまだ所属していないという事はまだ黄金林檎に所属しているという事で、それはつまり……黄金林檎のリーダーであるグリセルダがまだ生きている可能性がある。


アスナ「もしかして、グリセルダさんを助けられるかもしれないって事?」

キリト「ああ、それと上手く行けばラフィン・コフィンと接触出来るかもしれない…前回、グリセルダさんを殺したのはグリムロックの依頼を受けた奴らなんだから」


グリセルダを助けて、グリムロックの企みを阻止し、そしてラフィン・コフィンと接触する。全て万事上手く行けば前回より早くラフィン・コフィン討伐が可能になるかもしれない。早い段階での討伐になれば向こうもレベルは前回ほど高くは無いだろうから、白黒騎士団が、キリトが前面に出て戦う事で余計な被害が出ずに、壊滅させる事も出来るだろう。


キリト「それに、俺はグリムロックにも知って欲しいんだ」

アスナ「何を?」

キリト「好きな人と結婚して、その後に見えてくるその人の新しい一面を知るって事は幸せな事なんだって…」

アスナ「キリト君…」

キリト「俺は、アスナと結婚して、アスナの今まで知らなかった一面も見れるようになって更にアスナの事が好きになった……グリムロックにも、グリセルダさんがSAOに来てからの一面もまた彼女の魅力なんだって、もっと彼女の事が好きになれるんだって、知って欲しい」


隣に座るキリトの方に頭を乗せたアスナはキリトの言葉に少し赤面して、照れ隠しの様に頭を胸元まで移動させると、そのままグリグリと押し付け始めた。

いつに無く甘えてくる妻に、キリトはアスナの耳が真っ赤に染まっている事に気付いて、そのまま抱きしめる。


アスナ「キリト君…わたしも、グリムロックさんに知って欲しい。わたしもキリト君と結婚して、キリト君の新しい一面を見てもっともっと大好きになったんだって」

キリト「アスナ……」


可愛い事を言ってくれる妻が堪らなく愛おしい。まだ外に人が居るかもしれないギルドホームの団長室だというのに、キリトはソファーにアスナを押し倒した。

押し倒されたアスナは夜とは言えルクスやフィリアがいつ入ってくるかも知れない場所でという事に羞恥心があるのか、やや抵抗するも、その抵抗が無駄だと悟っているのか力無い形だけの抵抗となってしまう。


キリト「アスナ……本気で抵抗しないのか?」

アスナ「うぅー…イジワル、キリト君のする事に、抵抗なんて出来ないよぅ…///」

キリト「ホント、可愛い嫁さんだよアスナは」

アスナ「〜〜〜〜〜っ!!///」


耳元で囁かれ、アスナは恥ずかしいやら嬉しいやら、ちょっと気持ち良いやら、色々と何かが出てしまいそうで大変な状態になってしまうが、そんな妻の様子にキリトは微笑みながらゆっくりと、深い口付けをしながら覆いかぶさって行くのであった。








翌朝、何故かつやつやとしたキリトと、同じく何故かゲッソリとしながら腰を擦るアスナの2人が第19層へと向かっていた。


アスナ「ねぇキリト君…ここってゲームなのに何でああいうことし過ぎると腰が痛くなるのかな…?」

キリト「……茅場の拘りじゃね?」


ジト目で見つめてくるアスナから目線を反らしながらキリトは責任を茅場晶彦に押し付けた。

この時、血盟騎士団のギルドホームでヒースクリフがくしゃみをしたとかしないとか、血盟騎士団幹部の一人が発言していたのだが、それはどうでも良い。


アスナ「もう〜、これじゃわたし戦えないよー!///」

キリト「だ、大丈夫だって!戦う事になったら基本的に俺一人でやるし、アスナは万が一の為にグリセルダさんを守ってくれれば……」

アスナ「む〜」

キリトあ、あはは……はい、ごめんなさい、不注意が過ぎました」


下手したらラフィン・コフィンと戦う事になる可能性すらあるのに、少し不注意すぎた。気を引き締めてキリトとアスナは転移門から19層に移動して、グリセルダが殺されたという場所へ向かうと、途中で見覚えのある人物を見かける。


アスナ「キリト君、あれって…!!」

キリト「あのローブ、間違いない…PoHだ!!」


頭まですっぽりと覆うボロボロのローブ、微かに見える口元の歪みは見間違うはずも無い。殺人ギルド、ラフィン・コフィンのリーダー、PoHだった。


キリト「あいつがこの層に居るって事は、丁度良く今日がグリセルダさん暗殺の日って事か」

アスナ「何日か泊まりを覚悟していたけど、運が良よかったね」


本当に運が良いのかは疑問だが、泊まりにならずに済むのは良かったと言えるだろう。

キリトとアスナはPoHに気付かれない様に素早く行動して、恐らく既にこの層に来ているであろうグリセルダを探す事にした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ