ソードアート・オンライン Again
□第2話
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それから一ヵ月後、第一層迷宮区手前の町、トールバーナにキリトとアスナ、ユイの三人は居た。
この一ヶ月、自分たちのレベル上げを行いつつ、見かけた一般プレーヤーが窮地に陥っていた場合は救出してという事を何度も繰り返している内にキリトとアスナは互いにレベルが28と25になっており、死亡者も前回が2000人だったのに対して今回は1000人弱と、助けられなかった人こそ居たものの良い傾向だと言える。
更に言えばキリトとアスナはビギナープレーヤーの多く、主に二人が救助したプレーヤー達からは高く信頼と信用を寄せられていた。
自分達の片手間ではあるが、救助したプレーヤー達を少しだけ指南してレベル上げを手伝ってあげていたというのが信頼・信用される理由の一つであろう。
そして今、キリトとアスナは前回同様、第一層フロアボス攻略会議に出席していた。
前回は助けられなかったディアベル、彼を今度こそ助けると、心に誓って。
アスナ「ねぇキリト君、前より人…多くない?」
キリト「そうだな…確か、前は俺とアスナを入れて30人前後だったのに、今回は50人くらい居るぞ」
それも見覚えのある顔が増えているのだ。前回ではなく、今回の見覚えがある顔…それはキリトとアスナが窮地を救い、少しの間だけレベル上げを手伝ったり指南していた者達だ。
皆、キリトとアスナに気付くと手を振って笑顔を向けてくるので、二人もそれに手を振り返す。どうやら彼らも二人と別れてから順調にレベル上げをしてボス攻略に挑むだけのレベルまで達したという事だろう。
ディアベル「はーい!みんな、聞いてくれ!今日は俺の呼びかけに応えてくれてありがとう。俺の名はディアベル、職業は気持ち的にナイトやってます!」
前と同じ、ディアベルの演説が始まった。内容も前回と同じで、ディアベルのパーティーが第一層フロアボスの部屋を見つけたというもので、その攻略を行うのに6人でのパーティーを組む事になった。
勿論、キリトとアスナは最初からパーティー登録しているので、最悪前回同様に二人であぶれ組みでも良いのだが。
???「あ、あのキリト様、アスナさん!良ければ一緒にパーティを組みませんか?」
キリト「あ、確かルクスだったか?」
ルクス「はい!あの時はありがとうございます!おかげで私、今はレベル16になったんですよ!」
アスナ「へぇ、凄いじゃない!」
キリトとアスナに声を掛けてきたのは、何日か前にモンスターに囲まれている所を助けた、白いロングヘアの髪にどこかふわっとした印象のスタイルの良い少女。武器は片手剣を使用している。助けた当時はレベルが8だったので、随分と頑張ったらしい。
ルクス「それで、どうですか?」
キリト「良いよ、俺達で良ければ組もう」
ルクス「はいッ!」
???「じゃあアタシもキリト君とアスナちゃんと組むぅ!」
キリト「うわっ!?セブン!?」
セブン「オーチン ラートゥ ヴァス スノーヴァ ヴィーヂェチ!(久しぶりね)、キリト君、アスナちゃん♪」
いつの間にキリトの後ろに居たのか、銀色のロングヘアに青いベレー帽のような帽子をかぶった、ルクスやアスナより幼い少女が後ろからキリトに抱き着いてきた。
ルクス「な!?おいセブン!いきなりキリト様に抱きつくな!」
セブン「えー、別にいいじゃーん。キリト君はルクスちゃんだけのものじゃないでしょ?」
ルクス「ぐ、そ、そうだが、し、しかしだな!」
セブン「ていうか、何でキリト君とアスナちゃんと話す時以外はそんな男みたいな変な口調なの?あ、あれか。ハンドル持つと性格変わっちゃう的な?」
ルクス「べ、別にこれはその…て、今それは関係ないじゃないか!!」
???「もうセブン!ルクスちゃんの言う通り、キリト君から離れなさい。キリト君も困ってるでしょ?」
そう言ってセブンを注意するのは、赤いロングヘアのアスナやルクスと同い年くらいの少女。
セブン「ちぇー、わかったわよ、お姉ちゃん。」
???「よろしい。キリト君ゴメンね。」
キリト「ああ良いよ、気にしないでくれレイン。それよりもレインとセブンも無事でよかったよ」
レイン「えへへ♪キリト君のレクチャーのお陰で、あれから私、レベル19になったんだ!」
セブン「アタシはお姉ちゃんより低いけど、レベル16よ!」
キリト「そっか。2人とも頑張ったんだな」
レインとセブン。この2人もキリトとアスナに助けられたプレイヤーである。
リアルでは2人ともロシア人の父親と日本人の母親を持つハーフの姉妹だそうだ。
それにしても5人になったとは言え、随分と理想的なパーティーが出来上がったものだと思う。
レベル28のキリトと、レベル25のアスナ、レベル19のレイン、そしてレベル16のセブンとルクス、パーティーとしては申し分無い。
キリト「あと一人位は欲しいな…あ」
何かに気付いたキリトは立ち上がって一人の男に近寄ると、その男に話しかけた。
キリト「なぁアンタ」
???「ん?」
キリト「その武器、斧使いだよな?」
???「ああ、そうだが」
キリト「良ければ、俺達と組んでくれないか?斧のパワーが欲しいんだ」
キリトが話しかけたのは浅黒い肌の長身男性…キリトにとってクラインと同じもう一人の兄貴分。
エギルだった。
キリト「俺はキリト。パーティーはあそこのメンバーで、あと一人必要なんだけど」
エギル「ふむ…ディアベルと組もうかと思っていたが、いいぜ。俺はエギル、よろしくなキリト」
キリト「よろしく、エギル」
こうして、キリトはもう一人の兄貴分との二度目の初めましてを済ませた。
正直、エギルのパワーが欲しいという打算はあるものの、やはり…エギルとは早い段階から友好を深めたかったという私情が、強かったのかもしれない。