ソードアート・オンライン Again
□第5話
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アインクラッド第11層タフト。キリトにとっては前回、初めてギルドに入った地であり、楽しい思い出と苦い思い出の両方がある場所。その一角にある宿にキリトとアスナ、ユイの三人は居た。
白黒騎士団の他のメンバーは既に宿の部屋で休んでいるので、今は三人がテーブルを囲んで家族団欒を過ごしている。
アスナ「ここだよね?キリト君が初めてギルドに入ったの」
キリト「ああ…まだ、皆は来てないみたいだけど。とりあえず前回と同じ方法で会って、それから交流を深めていくつもりだ」
前回は、レベルを隠していたけど、今回は隠さずに交流するつもりでいる。
キリトが初めて入ったギルド、月夜の黒猫団。彼らのレベルはこの層では平均で、現在レベル45のキリトとレベル42のアスナが異常なだけだが、実力という点で言えば彼らは若干だが心許ないのだ。
月夜の黒猫団の目標は前線組に合流する事。ならば今のままでは彼らは前線に行くのに無理がある。
キリト「あいつらが前線組に来てくれると俺としては助かるんだ。実力とかそういうのじゃなくて、あいつらの持つ空気がさ…」
アスナ「空気?」
キリト「ああ、あいつらと一緒に居た時、あいつらが前線組に合流出来たらきっと前線組の殺伐とした空気が変わると思ったんだ…」
だけど、その願いも虚しく前回は月夜の黒猫団の壊滅という結果に終わってしまった。しかし、キリトは彼らも救うつもりでこの過去へとやってきたのだから、決して死なせるつもりは無い。
キリト「絶対に、死なせない…例えあいつらの仲間になれないんだとしても、今度こそケイタ達を…サチを死なせない。必ず一緒にSAOをクリアして現実世界に帰るんだ…!」
アスナ「うん、きっと大丈夫。だって今度はキリト君一人じゃないんだもん、わたしも、エギルさんやルクスちゃんたちも居るんだから」
ソロでは感じられなかった仲間というものの頼もしさ。改めてキリトはギルドを創って良かったと思う。流石に団長という立場は気恥ずかしいやらむず痒いやら、未だに微妙な感覚なのだが。
キリト「明日は、前回ならあいつらが窮地に陥る日だ。だから助けに行く」
アスナ「うん、私も付き合うよ」
ユイ「私はエギルさんの所でお留守番してますね、パパ、ママ」
ずっと黙って話を聞いていたユイは相変わらず聞き分けの良い子だった。
いつも良い子にしている愛娘の頭を撫でつつキリトは月夜の黒猫団に会うのを何処か戸惑っている自分がいる事に気がついていた。
前回は、自分の所為で死なせた4人と、絶望してキリトを恨み罵倒しながら自害した黒猫団のリーダーのケイタを思うと、はたして自分は本当にもう一度彼らと出会い、そして触れ合っても良いのかと自問してしまう。
彼らを死なせない為に会う、そのつもりなのに、彼らと会う事でまた死なせてしまうのではないかという恐怖も、心の何処かであるのだ。
キリト「(全ては、明日…だな)」