短編集
□工藤新一と
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今日はショッピングに付き合って欲しかったのだけれど。
紙袋をたくさん持ちながら歩いていく。
彼の瞳に似たネクタイピンは彼が大人になってから使って欲しくて買ったものだ。
こんなにも彼を拘束したくて仕方がない。
なんて無様で滑稽で醜悪だ。
最低な女だなぁと笑った。
もはや口を歪めることも出来やしない。
工藤くんの家に向かいながら手のひらに収まったプレゼントを握って歩いた。
蘭ちゃんが家にいるようなら辞めよう。
2人を邪魔したらダメだ。
あの人の蘭ちゃんのものだもの。
「あぁ……」
ため息を付きながら家の近くまで来ると小さな男の子がダブダブな服を着て走ってくるのが見えた。
それは恋焦がれているその人にまるで似ていて。
足が止まると成り行きを見ていた。
「うそ、あの子が、くどう、くん…?」
工藤新一が蘭ちゃんのものなら
あのボウヤは彼女のじゃない。
ぎゅ、とタイピンをを握りしめて私は工藤邸へ走ったのだった。
どうか私を共犯者にしてあやめて……
私はあなたの手足になる。