短編集

□恋の形
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「そういえば、安室さん。平次くんが安室さんを嫉妬させたいって言ってましたよ」
「…ん?」
「ちょっと私が口を滑らしちゃって……。嫉妬させたいならこれやー!って」
「なんですか」
「……簡単なことでしたけど。どこかの男と話してるとことか見せつける、とか」
「はあ」
「そんな反応になっちゃいますよね…!というか安室さんが嫉妬する所とか考えられなくって……」


クスクスと笑うと安室さんが歩みを止めた。
首を傾げながら振り返ると安室さんは色っぽい顔で微笑んでいた。


「ぇ、なん…」
「嫉妬はしますよ。ですが大人なので」


スッと服の上からなぞられた腰はその手つきにビクリと震えて。
まるで事情のような雰囲気を匂わせた彼はそのまま腰を抱いて私の頬を撫でた。


「ぁっ…、」
「ダメですよ、そんなことしたら許しませんからね」
「わ、分かってます、から…!」


耳で囁かれた言葉に身震いして小さく何度も頷いて力の入らない手で彼の胸を押し返した。


「それともうひとつ」
「んん、耳、やだぁ…っ」
「今日はあなたを返す気はありませんから」
「っ!!?」





公共の場だからとすぐに安室さんは離してくれたけれど告げられた言葉に真っ赤になった私は安室さんの袖を掴んで俯いて歩くしかなかった。
そして美味しく頂かれました。
いつもより執拗に私を虐める彼からの愛は私が本気で泣き出すまで続いた。
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