短編集

□沖矢昴の皮を被った赤井秀一と
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「ただいま。優稀さん」
「おかえりなさい。沖矢さん」


お風呂湧いてますよ。
お風呂に入ればメイクを落とさなければならないため入らないと分かっていながらもそう告げる。
予想した通り「今は大丈夫です」と言った彼に曖昧に微笑むと食事の準備をした。







久しぶりに喉の乾きを訴え夜中に起きると、眠たい目を擦りながら部屋を出た。
うっすらと付いている電気に不思議に思いながらもリビングに向かう。


「沖矢さん…?今もう深夜です…よ…、……!!」
「優稀……」


そこにはあまり知らなくて誰よりも知っている顔があった。


「あか、いさん…」
「すまない、もう寝ようとしてたんだ」


変声期も外したのか声も聞きなれないテノールボイス。
健康そうな細目が今は隈があって体調はよくなさそうだった。

テーブルにはウイスキーと何かの資料。
さっと資料をまとめる彼に私は咄嗟に口を開いた。


「あっ、あの…!」
「……なんだ」
「あ、…あの……えっと……」


何をいえと言うのか。
無理強いさせているのは自分かもしれないのに。


「や、やめ、ます…?」
「……っ」
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