短編集
□大人の階段
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「ではまた連絡しますね」
「……優稀さん」
「…っ」
定期文を言った私に昴はベッドから両手を広げ名前を呼んだ。
まだ上半身裸の昴はまた甘く私の名前を呼ぶ。
「泊まっていきますよね?」
「っ、でもっ…仕事、が…」
「僕が、寂しいんですよ」
それでも甘えられない私に最終兵器を出して陥落させると着たばっかりの上着を脱いで上から昴を押しつぶすように抱きしめた。
「しごとやだ……昴といる…」
「えぇ、僕はそれで構いませんよ」
「それもやだ…仕事は行かなきゃ……」
「では、時間まで一緒にいましょう」
「はい……」
グリグリと胸板に額を擦り付けて子供みたいなことを繰り返す。
昴はそれに面白そうに口角を上げて私を抱き締め返した。
「優稀さん。好きですよ」
「私も好きです…昴」