短編集
□Which is liar?
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「なるほどな」
「今からシュウ以外のスナイパーを呼ぶには時間がかかるのよ。私じゃ力不足だし」
急な案件をFBIから依頼されため息ながらに了承する。
元の自分の車内なので遠慮なしに紫煙を肺に送り込んで情報を頭に叩き込んでいく。
「で?あの子とはどうなったのよ」
「……優稀か」
「まさかシュウが高校生に手を出すなんて!」
「俺もそう思ってるよ」
「……打ち明けるつもりなの?それとも遊び?」
「少なくとも俺は本気だ」
「…………へぇ」
やけに間があったが気にせずいると妙なタイミングでため息を吐かれ隣を見るとジョディは真っ直ぐ前を指さした。
「あれ、優稀じゃない」
「…………浮気性なんだ」
「……本当にそうかしらね」
「なに?」
「別に。早く行きなさいよ」
「…いや、今日来ることになってる」
「いいから。抱きしめてあげて」
「………ジョディ何を知ってる」
それ以降話さなくなるジョディに眉を寄せるが言う通りに車から降りると彼女に駆け寄った。
「優稀!」
「……昴」
本当にびっくりしたように俺を見る彼女にどうしてかいたたまれない気持ちになった。
そうなるのは彼女であろうに。
数秒も経たないうちに知らない男は優稀の頭を撫で何も言わず去っていった。
「…………」
「……優稀?」
棒立ちしている彼女は困ったようにしかし嬉しそうに笑顔を作ると俺を見上げた。
「あ、会うのは家で…よね?こんなところでどうしたの?」
「……、」
それはこちらのセリフだ。