短編集

□Which is liar?
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「ごめん、変なこと聞いたね。これから帰るの?」
「……さっきの男は?」
「…友達だよ。私は…」
「『昴に嘘はつかないもの』ですか?」
「……うん、そう」


悲しそうに笑う意味が分からない。
何故こちらが罪悪感を覚えなければならないのか。
憤る気持ちを落ち着けて彼女の腕を引く。


「あ、あのね昴。私1人で帰れるよ。用事があったから外にいるんでしょう?だから、大丈夫だから…!」
「……」


近くに停めていたスバルに乗り込むと彼女を助手席に招き入れた。
優稀は渋々座ると俯き気味に目を伏せていた。
いつもは元気で楽しそうに話す彼女はどこにもいない。
その姿は少し大人びていた。


「…………の」
「なんです…?」


小さな声が外の喧騒でかき消されてしまう。
前を見ながら再度問うと彼女は声を震わせて口にした。


「邪魔するつもりはなかったの……。ごめんなさい」
「な、にを…?」


零れそうな涙を指で懸命に拭いながらなおも唇を動かせて。


「ジョディ…さん?だったよね。結構な頻度で会ってるの、知ってるの。分かってる、分かってるから。私は2番目…ううんそれ以降なんだよね、大丈夫。弁えてるよ。だからね、あの人と一緒にいたから…、私と会うなんて思ってなかった……。邪魔してごめんなさい」
「…………は」


なにか勘違いをしてないか。
初めて知る脆い部分に驚きが隠せないが、同時に何故そんな解釈になったのか分からない。


「私は…昴が好きよ。だから嘘はつかない。でもあなたはそうじゃないから全てを教えてはくれないんでしょう?……嘘はね、女には通じないのよ。分かっちゃうの」


涙を拭いた優稀は顔を作った。
笑顔を作って俺に見せて彼女はまた口を開く。


「私は昴に嘘はつかないもの」












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