短編集
□しあわせは誰かがきっと
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そして話はついた。
結局誕生日は教えてもらえなかったけど。
執着がないのかもしれない。
翌日。
いつも通り仕事をして帰りに昴の家に向かった。
キッチンには昴の姿。
バックを置いて後ろから昴に抱きつくと若干お気に入りになりつつあるチョーカーに額を擦り付けた。
最初のうちは好印象はなかったけど、あれかな、ブサカワってやつかな。
「優稀さん、おかえりなさい。もうすぐ出来ますからね。座っていてください」
「……じゃま?」
「まさか。……甘えてもらえるというのは嬉しいものですよ」
「ん。じゃ、ぎゅーしとくね」
昴に甘えるのも苦手だったけど、今はまるで子供のように擦り寄ることが出来る。
それを昴は嬉しいと笑うのだ。それが、好き。
トクントクンとなる心臓に耳を当てながら酩酊していると不意に腕が外され正面から抱きしめ返された。
「あ〜、すばる〜〜…」
「はい。優稀さん」
「だいすき」
「僕もですよ」
そのままリビングに向かって歩くとソファーに下ろされ頬にキスをされる。
ついでとばかりに頭を撫でられ彼はキッチンに向かっていった。
…………甘えすぎたかな。
引き際がわからない。
好きでいっぱいになってしまう。
もうおばさんになりかけているのにこんなに毎日恋をするなんて。