短編集

□降谷は愛されたい
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よく分からないがそして今、彼とは恋人同士だ。
それを知った公安課はビビりまくり急に私に敬語、敬称を付け始めた。それだけだったら心中穏やかだったかもしれないがあることがもっと恐怖されている。
実は私は風見が好きだった。何が好きなのかと言われたら圧倒的顔である。
まず眼鏡が似合うその雄らしい顔が好きだった。その後口調、声、綺麗に揃えられている爪なんかを段々に好きになり、しかし社内恋愛はちょっとな、と告白するのはやめたのだ。
それを感じていたらしい風見はずっと呼び捨て、命令口調だったのにまるで目上の人のように話し始めて少し残念。
思わず不貞腐れて見つめるとそれすらも視線を外され、そんな顔で見ないでくださいと諌めた。
そりゃあ零は警察時代からいい子だけど、恋愛対象じゃない。
幾度も零にそれを伝えるけれど受理はされないらしい。


「優稀さん。言っておきますが、降谷さんは本気ですよ」
「そうですね」
「敬語はやめてください」
「思わず出るの。注意しないでよ。そんなカリカリしないで……」
「あなたが不用意な発言をするからですよ。気をつけていただきたい」
「分かってますぅ……」


じっと見る。ああ、やっぱりかっこいい。
ぽっ、と顔が赤くなると青ざめた風見は眼鏡をとって顔を片手で覆う。


「何がそんなに……、あなたをそうさせる要素がありますか?俺に」
「…………」
「なんですか、その顔は」
「風見、私を助けると思って結婚しよ?」
「はっっ??」


バサバサバサと手に持っていた資料を床に落とした彼は言葉も紡げないようだ。
風見の後ろにいつの間にかいた零の驚嘆な声に驚いたからかもしれないけど。


「あ、零じゃん。視庁に寄って大丈夫?」
「今大丈夫じゃなくなった」
「ん?」


焦るように紙の束をかき集めた風見はまるで声をなくしたように何も言わず去っていった。
走る姿もかっこいい。すき。


「優稀、なら俺と結婚しよう」
「え?利益なくない?」
「……」
「────あああああ降谷さん!!ここのところ優稀さん働き詰めで!疲れているのだと思われます!!」
「そうなのか?」
「昨日8時間寝たよ」
「優稀さんはお口ミ○フィーちゃんにしてください」
「なにそれ可愛い」
「なので降谷さん!彼女を仮眠室までお願いします!!」
「あぁ、分かった」
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