魔女シリーズ

□スコッチに遭う
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今日も今日とて床につくと、ゴツゴツとした感触に瞳を開けた。
そこはコンクリートの上でした。
空は真っ青ー。いやー本日はお日柄もよろしく最高の昼寝日和となりました。…………なりました……。

あれから夢遊病的なものはなかったのでのどかな日を送っていたのだが。
ここどこだろうなー。
どこか達観したように空を見上げているとカンカンと誰かがもうスピードで上がってくる音がして振り向くと駆け落ちしたがりのふたりだった。


「待てスコッチ……、っ」
「チッ、」


悪井秀一に投げ飛ばされた振りしてスコッチは拳銃を抜き取る。
悪井秀一は余裕そうな顔で両手をあげた。


「さすがだなスコッチ……俺に投げ飛ばされる振りをして俺の拳銃を抜き取るとは……」


暴発(隠喩ではない)したら困るので魔法でシリンダーに込められた弾(隠喩ではない)を抜き取るとポケットに入れ、成り行きを見る。
いやだって『俺の拳銃』とか言っちゃうんだもん……。ちょっとそーゆー風に聞こえるじゃん?俺の拳銃に?弾が?六発?絶倫ー!
…………というかお互い真剣すぎて同じ空間にいる私に気付いてないね?逆にすごいわ。
私が組織の人間だったら終わりだよふたりとも。


「命乞いをするわけではないが……俺を撃つ前に話を聞いてみるつもりはないか?」
「け、拳銃はお前を撃つために抜いたんじゃない……!こうする……為だ!!」


ザッと悪井秀一が距離を狭めてスコッチに壁ドンをした。
いやー、ここね?漫画ではわりと距離あるのよ。しかしアニメで見ると何故かめっちゃ近くてキス出来る距離だったからね??びっくりしすぎて息を止めかけた夢女子は私だ。
何度も見たくて思わず漫画買ってしまったわ。アニメ勢なのに。


「無理だ……。リボルバーのシリンダーをつかまれたら、人間の力でトリガーを引くのは不可能だよ……、自殺は諦めろスコッチ。お前はここで死ぬべき男ではない……」
「何!?」
「俺はFBIから潜入している赤井秀一……。お前と同じ奴らに噛み付こうとしている犬だ……。さあ、分かったら拳銃を離して俺の話を聞け……。お前一人を逃がすぐらい造作もないのだから……」
「あ、ああ……」


ここでカンカンと音が鳴る。
ふたりして非常階段を振り返ってしまい、スコッチは組織の人間が来たと思い込み引き金を引いた。
そしてライはなぜ心臓を一発で狙ったのかはを理解して後から来た『組織の人間』であるバーボンに自分が殺した、情報を取るはずだったが出来なかった、ノックだとは分かっていたが所属までは分からなかったと錯綜してスコッチを別の意味で救った話だ。

が、私は弾を抜き取ってしまっているので。
パンッ!!と音が鳴るが血しぶきは愚か衝撃が来ただけでスコッチも痺れた右手を見ている。ライも困惑しているのかフリーズしていて、その後バーボンが登場した。


「スコッチの身柄は僕が……!!」
「え?」
「どうして空砲なんだ」
「ぼ、僕が……」
「俺が聞きたいんだけどな!?ライ!」
「しっかりと入れてきた……、と思う」
「…………」
「ライー!?それでもFBIかー!!」
「焦るなスコッチ、誰にでも間違いはある」
「FBI……?」
「落ち着きすぎなんだなお前がな!一世一代の覚悟が!」


良かったじゃん。生き残って。
もういいかなって起床しようとするが起き方から分からない。
………………え?どうしよ。


「ところでライ、スコッチ、彼女は?」
「バーボン……、?誰だ」
「君は……いや、そんなはずは……」


何故声をかけるのかな!?
まあいいやもう……。


「はいはい、スコッチさんの命は私が助けましたよーっと」


ポケットに入れ込んだ弾丸を見せてライに渡すとはあ、とため息を吐く。


「せいぜい私に感謝してください。三人共」


そう言い残すと見慣れた天井が目に入り息を吐く。
裏切りのステージ体験した側としてのコメントはそうだな……。
スコッチの声がやっぱりイケメンってことかな!!?
ごちそうさまでした。

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