魔女シリーズ

□続、江戸川コナンに遭う
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「やあ!俺もいいかな」


え、誰、この神に愛されしスペックを持った赤井は。
アンサー、赤井秀一さんですね。
前は無表情で『この女』呼ばわりしたくせにまるでそんな事実なかったかのように優しく接してくるヤバ井秀一に固まると彼は私をマジマジと見つめてホォーと鳴いた。


「本当に外見が変わってないんだな……、ボウヤと同じ薬を飲んだのか?」
「さっき灰原に連絡したけどジンが関わってるなら分からないって言ってたよ」
「なるほど。……過去では君に助けられていたにも関わらず、覚えていないことを不快に思っただろうか?許してくれ」


まるで恋人にでも向けるような優しい声音で大人の雰囲気を醸し出したヤバ井秀一は私の手をそっと握り自分の口元に持って行っては口付けをした。
はいーー!二次創作のベタ惚れ赤井秀一だ!!!
よく二次創作で見るやつ!!
ポエムな恥ずかしい言葉をまるで空気でも吐くように伝えてくるやつだ!
この場合、相手はその恥ずかしい言葉を恥ずかしがらずにさも当然のように受け取る。


「……君がジンと繋がっているなんて信じられないな……。アフロディーテの生まれ変わりのような君が」
「は?」


すみません真顔では?なんて言ってごめんなさいでも私理解できない言葉を話すヤバ井秀一無理です生理的に無理。


「あ、ここです」


そこらへんに車を止めてもらって4人で部屋の近くに行くとドアを開ける前に3人を振り返る。


「私には、年の離れた兄が2人居ます。長男がそのジンって人の煙草の愛用者で、次男が家事好きの人です」
「家事好きの人」


だ、だってそれ以上説明しようがないんだもん!!ゆるちて!バブー!!!


ドアを開けると確かに今住んでいる家と空間が繋がっていて安堵すると3人を招く。
各々挨拶しながら廊下を進んではリビングを見る。


「あ、はじめましてお兄さん」
「……あ?」


先頭の安室さんがジンを見つけてそう言うと彼は眉を寄せて凄む。
私から見たらジンだが、ほかの人から見たらちゃんと別の人物になっているだろう。


「ジ……、次郎兄さん、この人達は知り合いの人」
「………………」


私だって次郎なんて呼びたくないよ!!!
ジンって言いかけちゃったんだもん!仕方ないじゃん!!
だからそんな人を殺せそうな眼力こちらに向けないでほしいんですが!
ここは合わせて……。


「じ、次郎兄さ……」
「いいか、次その名前を呼んだら殺す」
「ギャァァ!ごめんなさい、ゆるちて!!!」


死なない体とはいっても前みたいに心臓や頭を狙われたら死んでしまう!!
魔法も解けちゃうよ!?それは困るでしょ!?


「……お名前は次郎さんではないのですか?」


ほら!安室透が突っ込んで来てるよ!!


「ふん、テメェらに名乗る名前なんざねぇな」
「なるほど」
「じろ……、兄さんはかっこいい名前じゃなかったから呼ばれたくないんです……すみません。いつもは彼を兄さん、次男の方を兄ちゃんって呼んでました」
「ん?彼が次男ではないのか……、次郎なのに」
「ファッ!?た、確かに……」


ふっつうに年上ならジンかなって思ってた……、だったらジンを次男にして…………、いやウォッカがいた場合破綻してただろうし、というかもう破綻してるんだけど……。
そんな私を怪しいと3人が見つめてくるがジンの顔は全くの別人。私が変な人間(じゃないけど)だからか深くはつっこんで来ないようだった。


「お兄さんその銘柄はいつから好んで?」
「……」
「……お兄さんがそれほど我々を嫌う理由はなんですかね」
「顔」
「なるほど」


顔ーー!!笑うわ!!!顔って、顔かよ草。
確かに美形しかいないが、ジンとウォッカは目立たぬようにフツメンにしたから!!すまぬ!!!バロス!


「特に何も無かったじゃないか、安室君。彼女にも家族にも失礼だ。帰らないか?」
「そうですね……。ではひとつだけ」


人差し指を立てた安室透はニコリと笑って私たちを見る。
その笑みにぞぞぞ、と背筋に悪寒が走る。


「彼女はもちろんですが、あなた方も戸籍はないんですよね?よくアパート、借りれましたね」
「いやあの……」
「ああ、すみません、戸籍はありましたね。……偽装された、ね?」
「……」
「ここは、そんなことを出来る環境ではない。どうやったんですか。そんな魔法みたいなこと」


アッ、実は答え出てるんですぅぅぅ!


「フッ……、だからその、魔法だろ」
「ちょ、」


余裕そうな笑みを浮かべたジンがそう安室透を挑発すると意外にも彼は冷静に受け流すように微笑んだ。


「そうですか……、まあそう簡単に言ったりはしないでしょうね」
「……」
「今日のところは帰ります」


踵を返す安室にイタズラしたそうなコナンを抱えた赤井が後に続く。
すまなかったな、と赤井は私の頭を撫で出ていった。
すぐにドアを閉めて空間の繋がりを経つと息を吐いて蹲る。


「はあ〜〜〜〜……」
「お前、あいつらと知り合いだったのか」


ジンが私の後ろからそう非難するように問いかけるので振り返らず壁に持たれながら項垂れる。


「知り合いっていうか……最近目をつけられたのがあの3人だったってこと……」
「なるほどな」
「はあ……疲れたあ……」


抱っこ!兄さん!と両手を万歳すると去っていく足音にフローリングに這いずる。


「頑張ったのにぃ……」


まあ、人に甘いジンなんて見たくないけど。赤井秀一じゃあるまいし。
その後帰ってきたウォッカに抱き上げられソファーに寝かされるまで私はゴロゴロと転がり効率の悪い雑巾と化していた。

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