短編小説U

□私だけのモノ
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教室の中、私は一人ゆいちゃんを見つめる。


「ゆいちゃん」「今泉さん」「佑唯」
たくさんの人から名前を呼ばれて、いちいち笑顔を向けるゆいちゃん。



あぁ…気に食わない。



ゆいちゃんは私の恋人。だからゆいちゃんが明るくてキラキラしててまるでアイドルみたいなゆいちゃんがみんなに好かれるのは仕方のないことだっていうのは私が一番理解しているつもりだ。




でも、私前に言ったよね。




「他の人と話さないで」ってさ。








__________



「ちょっと…ゆいぽん?」
「…だめだった?」
「別に、そういうわけじゃないけど…」



私はゆいちゃんの周りから人がいなくなったのを見計らって保健室に連れ込んだ。
もちろん怪しい。いきなり手首掴んで連れてこられた先が保健室って…ね?


きっとそう思ってるはずなのに大丈夫だよと笑顔を向けるゆいちゃんに、そりゃあ好かれるよねと改めて思う。


でもさ、私だけに向けてくれればそれでいいのに。



「座って。」
「え?」
「いいから。」


保健室のドアの前で突っ立ってたからゆいちゃんをベッドに座るよう促す。
私は片手で、聴こえないようにドアの鍵を閉めた。



「ゆいちゃんさ、覚えてないの?」
「…なに、を…?」
「だめだよ。恋人の言ったことは覚えてないと。」
「…」
「脱いで?」
「え、」
「いいから。」


ゆいちゃんだけを座らせて私は立ったまま。
ゆいちゃんは覚えてないらしい、これはいけないことだ。
もう一回、今度は体にしっかり教えてあげないと。


最初は戸惑って制服にすら手をかけずにちょっと震えていたけど、私がもう一度「脱いで」と指示すると、一瞬びくっとして、脱がなきゃやばい、みたいな顔をしてゆいちゃんはジャケットのボタンを徐々に外し始めた。


プチッ…プチッ…プチッ…


ジャケットをゆっくり脱ぎ、ベッドの上に柔らかく置いた。
シャツのボタンも外していく。隙間から見える下着が、私の心を興奮させていく。


あと、一個…


というところで、ゆいちゃんの手が止まった。
いいところだったのに、そうしたんだろう。



「ゆい、ぽん…」
「なに?早く脱いで?」
「っ…まさか、ここでしないよね?」
「…?」
「だ、だから…!」
「えっちを?」
「う、ん…」


あー。そういうこと。
そっか。ゆいちゃんは私に襲われると思ってたのか…可愛いな。


確かにこの状況はそう思わざる負えないだろうね。でもね、私は別にそんなことしようとしてなからね。



「しないよ。」それだけゆいちゃんに言って、ゆいちゃんはまた自主的に脱ぐ行為を始める。


シャツが脱ぎ終わり、下着だけになったゆいちゃん。さすがにもう自分ではできないのか涙目で私を見つめてくる。
しょうがないな。そう思って私はゆいちゃんの背後にまわりブラを外してあげる。ふわっと取れてゆいちゃんの太ももの上に落ちた。



「んっ!」
「背中、きれいだね。」
「くすぐっ、たいよ…」
「痕つけてあげる。」


背中に指を這わせた後、わざと音をたててキスマークをつける。恥ずかしいのか脱いだ制服をぎゅっと抱きしめて耐えているゆいちゃんは、すっごい可愛くて、すっごく、そそられる。


あ、そうだ。いいこと思いついた。



一度行為をやめて、私は自分のネクタイを外して、そして、ゆいちゃんの両腕を背中に回してネクタイを結びつけた。


そのまま私もベッドにあがりゆいちゃんの肩をポンッて軽く押してあげた。両腕の自由が効かないからかどさっと簡単に倒れてしまった。
私はそのままゆいちゃんにまたがり、上から下までを見た。


顔赤くして目をぎゅうーって閉じてるゆいちゃん。



「大丈夫。最後まではしないから。」
「ふぁあ…!」
「ふふっ」


さっきは背中だけだったから、今度は前も堪能する。
でも、最後までいかないっていうのは少し酷かもしれない。中途半端で終わらせるなんて私も本望じゃないんだけど、ここ学校だからしょうがない。


だからその分、楽しまないとね。


「ゆいちゃん可愛い。ここ立ってるよ?」
「んぅ!や、やぁ…」
「感じてるんだ。ごめんね、最後までできなくて。」
「や、だぁ…!」
「…あーあ。ここ、濡れちゃってるのに…」



あれ、私たちってなんでここでこんなことしてるんだっけ?ゆいちゃんに夢中になりすぎて、忘れてしまった。



あーそうだ。
ゆいちゃんが忘れてたからだ、私の言葉。



本当はもうちょっと遊んでたかったんだけど、時間が時間だったから諦めてゆいちゃんを抱きしめた。


そっと耳元に顔を寄せて、囁く。



「ねぇ。ゆいちゃんは誰のもの?」
「わかんっ、ない…」
「分かんないの?じゃあお仕置きだよ?」
「あぁ!もう、だめ…」
「もう一回聞いてあげる。ゆいちゃんは誰のもの?」
「んっ、はぁ…っ」
「言って?」
「…ぽん…」
「ん?」
「ゆい、だよぉ…」
「よく出来ました。」
「ねぇ…もう、時間…」
「あとちょっと。じゃあゆいちゃんは私のお願い聞いてくれるよね?」
「っ、はい…」



「お願いだから、他の人と話さないで?」





ゆいちゃんには、こんなことできない。だって優しいから。




私は知っててお願いしてる。




これでもう、何回目だろう。




それでも好きなんだ。ゆいちゃんのこと、誰よりも。





私の、私だけのモノ。




でも今はまだ、私だけのモノじゃない。





そうだ














いっそ、一緒に死んでしまおうか。















END.

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