短編小説U

□君中心
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平手side





あんまり一緒にいるとばれちゃうかもしれない。
そう言ったのはねるだった。
もしばれたら欅を辞めさせられちゃうかもしれないし、もう会えなくなる可能性もある。それを聞いて私は、そんなことになるならしょうがないと、メディアの前で、ねると一緒にいることを控えた。
でも、恋人がすぐそこにいるのに、手をのばしても届かせちゃいけないなんて辛すぎる。分かってる、けど…
だから私は、ねるとちゃんと一緒にいられる休日は、とことん甘えるようにしようと思った。


「ねる。」
「ん、どうしたと?」
「ねる、ねる…」
「可愛いねぇ」
「好きだよ。ねるは私のこと好き?」
「うん。当たり前だよ?」
「ありがと、愛してるよ。」


今日は休みの日。でも、この日が来るまで長かった。忙しくて忙しくて…嬉しいことだっていうのは分かってるけど、ねるとふれあえないのがつらかった。
だから今日、私は機嫌がよくない。
ねると会えたのは嬉しい。けど、ねるとふれあえなかった時間を、今日で取り返せるとは思えない。


なのにねるは、いつも通り。


どうして?


なんで、どうしてなの?恋人って、同じぐらい想ってないと続かないんじゃないの?ねるは私と会えなくても平気だったの?ねぇ、なんで?なんでなのねる?なんで…


「んぅ!ったい、て、てち!」
「印。ねるは私のものだから。…別に、問題ないよね?」
「ない、けど…痛いよ?」
「ごめん。次から優しくする。」

嘘。ねるが痛がるのはしょうがない。だって、わざと痛くしてあげてるんだから。
ねるの体を、丁寧に丁寧になぞって、優しくキスをしてから次はわざと歯をたててから印をつける。上から下まで、全部。
ねるは苦悶の声をあげていた。でも、その中にはきっと喜びも入っているはずだ。
私を感じてほしい。
会えなかった分、そして、これから会えない分。

私の愛は、きっとねるしか受け止められない。
私には、ねるだけなんだよ。
でも、私だけじゃだめ。
ねるにとっても、私が全てにならなくちゃ。


そのためには、考える時間が必要。

だからまだ、頑張らなきゃ。






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