短編小説V

□べりべりの一日
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・おとまり

「梨加ちゃん。」
「?」
「こっちきて。」

おいでおいでと、ソファに座る私の足の間をとんとんする。
そうすると、梨加ちゃんはもじもじしながら、ひざをついてとことこと歩いてきた。
うん。可愛い。

「んー」
「ん。りさちゃん?」
「ちょっと眠くなってきた…」
「おふとんいく?」
「…まだ頑張る。」
「ふふふ、どーして?」
「…久しぶりのお泊りだから、まだ。」
「かわいい。」
「でも、眠い。」
「…明日もお泊りする?」
「え、ほんと?」
「明日も、明後日もお休みだから…」
「デート!…できる?」
「できるよ。」



・つぎのひのあさ

「…りさちゃん。」
「…」
「りーさちゃん。」
「…んぅ…」

寝顔、可愛いな。
でももう八時だし…デートも行かなきゃいけないし…
んっ。わたし、がんばる。

「りさちゃん、りーさーちゃんっ。」
「んぅ〜…」
「りさちゃん!」
「…」
「…」

もうどうしよう…
そういえば愛佳が前教えてくれたやつ。

「…起きないと、ちゅー、するよ…」
「…」

…愛佳の嘘つき。全然起きないじゃん。

「…ねぇ」
「!?」
「キス、してくれないの?」
「り、りさちゃん…!?」
「なんだぁ残念。してくれると思ったのに…ふぁ〜あ。」
「…りさちゃん、おきてた…?」
「んー?どうだろね。」
「ひどい…」

もう愛佳の言うことはきかないすることにしよ。



・でーと〜待ち合わせ〜

「どこ行く?」
「どこでもいいっ」
「んー…じゃあ梨加ちゃんのピン買いにいこっか。」
「わたしのピン?なんで?」
「梨加ちゃんが前髪留めてるの見たかったんだ。」
「でも、ピンいっぱいあるよ?」
「どうせやるなら可愛くしてあげたい。」
「ふふふ、そんな変わんないよ?」
「いーの。私の自己満足だから。あ、私が買ってあげるからね。」
「えっ、りさちゃんに申し訳ないよ…」
「あっ、じゃあさ、こうしよ。」
「?」
「梨加ちゃんも、私になんか買ってほしい。…だめ、かな?」
「ううん!わたしも、かう。」
「あっ、高いものじゃなくていいからね?」
「んっ。りさちゃんもね。」
「うん。じゃあいこっか。」
「うんっ。」

梨加ちゃんの手って、いっつもあったかいなぁ。



・でーと〜梨加ちゃんのピン〜

「これとかどうかな?」
「…にあう?」
「うん、可愛い。色も落ち着いてて、きれいな柄だし…梨加ちゃんはどう思う?」
「ん〜…私、こっちの方がいいな…」
「…?梨加ちゃんの好きな色って、こっちだよね?」
「でも、こっちの方がりさちゃんっぽいでしょ?」
「え?」
「りさちゃんっぽい方が、なんか嬉しいな。」
「っ…!」

私の彼女、可愛すぎる…


・でーと〜理佐ちゃんのピン〜

「りさちゃんは、なにか欲しいものある?」
「ん〜…なんだろな?」
「むずかしい…」
「梨加ちゃんにはピンだから、私もなにか、そういうのがいいかな。」
「んぅ…」

りさちゃんに似合うものかぁ…
あっ。

「…色違い、とか?」
「…梨加ちゃんのやつの?」
「うんっ」
「うーん。いいけど…」
「さっき、りさちゃん選んだやつとかどうかな?」
「…あぁー。」

なるほど。
もしかして、私っぽいのを梨加ちゃんが、梨加ちゃんっぽいのを私がってことか…
え、やばい可愛い。

「りさちゃん?顔あかいよ?」
「だ、大丈夫…」
「?」

二人でレジに持っていく。
もしかしたら、にやけてたのばれてたかも…



・もうおかえりのじかんです

「もう帰らないとね。」
「でも、今日もお泊り。」
「あーごめん梨加ちゃん。」
「?」
「実は、仕事入ってたの忘れてて…」
「…とまれない?」
「うん…ごめんね?」
「ううん、大丈夫。じゃあ、ここでお別れだね?」
「…」
「…」

りさちゃんと、お泊りしたかったなぁ…

「りーかちゃん。」
「わわっ。」

下を向いてたらいきなりりさちゃんがだきついてきた。

「あとちょっとだけど、最後までこうしてよっか。」
「りさちゃん…!」
「んー。離れたくないねぇ…」
「うん…」





おわり。

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