短編小説(その他)

□だぶるせんたー
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乃木坂の記念すべき17thシングル「インフルエンサー」のセンターは、私のなぁちゃんになった。
そう、私と七瀬。


つまり、


「恋人がセンターなんて、秋元さんも分かってるね!」
「秋元さんは知らないでしょ…」
「もう生ちゃん考えすぎだから。要するに最高ってことなんだよ!」
「なぁちゃんと、と・な・り…」
「はぁ、ほんっとまいやんって変態だよね…」


変態って言葉は気に食わないけど、実際七瀬に対してならそれも認めざる得ないと思う。
生ちゃんとあーだこーだ言い合って七瀬の方が可愛いだの真夏の方が可愛いだのいやいや真夏はほんとありえないとか…
なーんて話してると見えた、私の好きな背中。
生ちゃんが悟ったような顔をして「変なことしたら通報するからね」っていったのに適当に返事してその人のもとへ向かった。


「なーなせっ!」
「…まいやん…」
「あれ?なんか元気ない?」
「…」


顔を赤くして私が調子のってキスをする予定だったのに、七瀬は少し驚いただけで、しかも浮かない様子。
お口までとんがらせて…私、なんかしたっけ?


「うちのこと、気付かなかったやろ。」
「え?」
「生ちゃんばっかと話して…うちずっとそこいたんやけど…」
「え。」


あぁ〜。これはやっちゃったなぁ…
七瀬、こういうときって謝っても許してくれないんだよな。
謝っても許してもらえないなら、行動に移すべき。


「ななせ。」
「…なに?」
「好きだよ。」
「…」
「ごめんね?気付いてたなんて嘘は言わない。けど、気付きたかったよ。これは、ほんと。」
「まいやん…」
「信じてくれた?」
「……い…」
「え?」
「足りへん、って言うてるの。」
「んっ」
「うちも好き。」
「っ、七瀬のせいだからね」


珍しい。まさか七瀬からチューしてくるなんて。
こんな可愛い恋人からの誘いにのらないわけないじゃん。
そう、のらないわけない。
のりたい。
ぜひとものらせていただきたいのに…!


「ま〜い〜や〜ん?」
「い、生ちゃん?」
「まいやんだめだよ…」
「真夏と生ちゃん…なにしにきたの!」
「なぁちゃん大丈夫?まいやんになんかされなかった?」
「なんにもしてないから!ね、七瀬?」

ない。絶対にない。どちらか、というか今のは絶対七瀬の方だ。
でも七瀬はなかなか答えない。
あげくには、


「まいやんがうちのこと襲ってきてん。助けて?」
「まいやん〜!!」
「ななせ!?ちょっと!」
「真夏、連行しよう。」
「そうだね…今回ばかりは仕方ないか…」
「ねぇ!?私じゃないのに!」


七瀬は笑いをこらえているようだった。
どんどん離れていって、七瀬から目を離そうとしたときだった。


「へ?」


七瀬の口が開いて、なにかを言った。
なにを言ったかは七瀬にしか分からないけど、私には「あとでね」に見えた。







END

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