中編

□2日目
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「榎ちゃん!ババ抜きやろ!」
『え、ババ抜きって心理戦じゃん
運関係ないよね?』
「そんなことないよ!ほらほら、やるからこっち座って!」

王馬に引っ張られ、寄宿舎近くのベンチに座らされた
均等にトランプが配られる。ババ抜きなんて久々だけど昔にもう絶対私とはやらないと言われた気がするんだけど、なんでだっけ?
トランプを持ち、最初から揃った数字を捨ていく

『あっ』
「は?」

ゲームが始まる前にカードがすべて揃い、王馬の手に1枚だけ残る。多分それがジョーカーだろう
もう1回と言われやるが、結果同じく
途中通りかかった最原と赤松も交えてやるけど、みんなの手元にカードが残っても私が残ることはなかった

「すごいね!1回もカードが残らないなんて!」
「さすが、超高校級の幸運だね!」

3人がババ抜きの続きをしながら、赤松と王馬が楽しそうに言ってきた
いやいや、幸運関係ないし、それに運が良いならまだしも幸運なら…

「それは違うんじゃないかな?」
「え?なんで、最原くん」
「確かに榎さんは運が良いみたいだけど、幸運ではない気がするんだよね」
「えー?なんでそう思うの?
だって、最初に上がっちゃえば勝ちっぱなしなんだよ!
最原ちゃんはそれは幸運じゃないって思うの?」
「…王馬くん実はわかって言ってるよね?」
「え?なにが?」
「多分、榎さんは普通に混ざってゲームをしたいと思ってるんじゃないかな?」

こちらの表情を伺うように言葉を述べる最原をついつい抱きしめて、頭を撫で回した
な、なんだこの可愛いやつは…!

『控えめに言って天使かよ…っ!』
「えっ、ちょ…榎さん!?」
『私の気持ちを察するなんて、さすが探偵!
でもその力は是非好きな女性に発揮しな!』

思う存分撫で回してから解放して、座っていた位置に戻った途端にお腹に衝撃
ぐふぅって、なった。リアルに
元凶は持ちろん、コイツ、王馬小吉

「オレもー!オレも撫でてよー!」
『だいぶお腹に大ダメージを与えときながら言う事?ねぇ、まず謝ろ?
あと絶対、撫でないからね』
「うわあああああああああああああんっ!
酷いよー!慰めて、赤松ちゃーん!」

そう言って、さりげなく赤松の胸に抱きつく王馬
羨ましぃぃい…っ!いや女子同士だから抱き着いたりとかのスキンシップぐらい簡単だと言う人もいるけど
そこまで仲良くない人に抱き着かれるの嫌っていう女子っているからね!
可愛い甘え上手な女子がやったり、クラスのムードメイカーな女子がやるのは案外抵抗ないらしいけど
そうじゃないとなかなか難しいからね!

「ちょ、ちょっと!王馬くん!?」

困惑する最原を横目に、手の行き場を迷ってる赤松さんに近寄り
未だに泣いている王馬を引き離す
力はそんなに込めて抱きついていたわけじゃなかったみたいだ

『よーしよし、泣きやめー』

王馬を抱きしめて、背中をトントンと赤子にやるように叩いてやる
泣き声が止まったあたりで離れようとしたけど、回されてる腕の力が強くて離れない

『王馬?』
「…榎ちゃんってさー
腰周り細いけど、おっぱい小さいよね!むしろ無くない?もしかしてへこんでる?」

ぱっと離れて笑顔で言う王馬
私は頭の中で言われた言葉を反復する
深呼吸、深呼吸

『そりゃ、赤松と比べたら小さいに決まってんでしょうがぁああああ!!
そしてへこんでないわ!ちゃんとあるわ!触って確かめてみろ!』
「ええっ!?ちょっと、落ち着きなよ榎さん!」
「赤松ちゃんも最原ちゃんも邪魔しないでよー
せっかく榎ちゃんのない胸触れるのにー」
『ふっざけんなぁあああああああ!』
「落ち着いってって!榎さん!」

私は赤松に、王馬は最原に落ち着くまで抑えられ今日は解散となった

【2日目】
(てか、今回胸のことしか話してない…)

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