中編

□5日目
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なんで私はこんなことをしてるんだ…
確か今日はゆっくり本でも読もうと図書室に来たのに

「ちょっとー、手を止めないでよ」
『はいはい…』

小さい正方形の白紙に凶という字を書いていく
王馬曰く、今回の運試しはくじ引きらしい
と言っても
実物のくじはないから自作するのを手伝えと言われ、凶という字がゲシュタルト崩壊しそうな程度には作っている
凶と大凶ばかりのくじを作りたいらしい。あとは、大吉と小吉が1枚ずつ
ふつうなら小吉も複数必要だろうし、何よりくじはその4種類だけじゃない
と言いたいことは多々あるけど、これ以上書くものを増やしたくないから言わない
やっと書き終わった紙を4つ折りにして箱に入れる。それを王馬が振って混ぜる

「今日は
幸運なら小吉!運がいいなら大吉!
っていうルールでやるね!」
『よくわかんないんだけど』
「オレの名前って小吉でしょ、だから榎ちゃんが大好きなオレの名前を当てれば幸運で
大吉を当てれば運が良いだけって話だよ!」
『別に、王馬のこと大好きじゃないけど』
「え?オレのこと嫌いだったの?」
『嫌いでもないけど…
まぁ、好きか嫌いかって言われれば好きな方かな。likeだけど』

そう言うと意外そうな顔で見られた
私が王馬のことを嫌いとでも思っていたのだろうか、失礼なやつだ
さすがに嫌いなやつに付き合う程お人好しじゃないんだけどな

『まぁ、大事なやつである王馬の小吉を当てれば幸運ってことで
頑張って当てますかー』
「…っ、頑張ってよー!」

少しだけ緊張する
私には才能はないし、もしかしたら大吉も小吉もでないかもしれない
でも、小吉を当てたいって気持ちがあるのは確かだから
手を入れて慎重に選んで取り出す
ゆっくりと開くと、そこには

『…』
「榎ちゃん?」

私はその紙を裏返して机の上に置いて立ち上がる
なんとなく王馬と目を合わせずらかった

『やっぱり、私は超高校級の幸運なんじゃないよ』
「え?」

王馬を置いたまま図書室から出た

【5日目】
(紙には大吉の文字が書かれていた)

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