中編

□6日目
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「榎ちゃんみーっけ!」

AVルームで夜長に付き合って神様にお祈りをしていると王馬が現れた
私も夜長も王馬に視線を向けるとパイをのせたお皿を机の上に置く
8等分にされているパイは焼きたてなのか良い香りが漂っている

「おー、美味しそうだねー!
神様への貢物?」
『夜長さん、夜長さん。それは違うと思うぞー
で、今度は何企んでんの?王馬』
「企んでるなんて失礼しちゃうよー
オレはただ、今日はガレット・デ・ロワで運試しをしようと思っただけだよ!」

うわっ、まだやるんだ
あぁでもこの間のは運は良かったから一応才能が発揮されたと王馬にはなった…のかな?

「ガレット・デ・ロワ?なにそれー?」
『あー、フランスの新年に食べるお菓子で
どこかに、フェーブって呼ばれる小さな陶器製の人形が入ってるんだよ
フェーブが当たったら1年間は幸せに過ごせますよっていう…まぁ、新年からの運試しだと思えばいいよ』
「まぁ、陶器製の人形なんて手に入らなかったから他のものを入れといたよ!」
「ほー、結衣も小吉も物知りだねー!」

私の場合は某フリゲーで出てきたから気になり調べただけだけど…
まぁ、物知りって褒められて悪い気はしない

『で、フェーブ代わりのものを私が当てればいいってこと?』
「その通りだよー!
6日目にしてやっと慣れてきた感じだねー」
『そうでもないけど…』

なれたくない慣れだな…。適当な1切れを取り口に含む
美味しい…!ガレット・デ・ロワって名前だけは知ってたけど意外と美味しいんだ
横で夜長と王馬も1切れを口に含む

「すごーく美味しー!」
「さっすが、オレが夜なべして作っただけあるね!」
『嘘だろ…』
「嘘だよー!」

3人でお行儀悪く手で持って食べていると歯に硬いものが当たったから
一旦口を離してパイの間から覗くそれを抜いてみた
中から出てきたのは…

『…指輪?』
「あ、オレがいれたフェーブじゃん!」
「結衣の運神ってるー!」
『正しくはフェーブ代わりのものね』

その指輪をティッシュで綺麗に拭き取り机に置くと、すぐさま王馬が持ち上げる
どうする気だろうと動向を見ていると、私の手を握り左手の薬指にはめた
ベ、ベターなやつや!王道や!

「あれー?指太だと思ったのに意外と細いんだね!」
「ガバガバだねーゆるゆるだねー」
『夜長、言い方言い方…
てか、王馬!これ男物だろ?』
「あ、バレた?」
『バレた?じゃねーよ!どんだけ太いと思ったんだよ!
今日は容赦しないからな!』
「やべっ、にーげよ!」

言って走り去る王馬を、夜長に断りをいれてから追った


【6日目】
(後ろから「小吉と結衣は相思相愛なんだねー」という夜長の言葉を聞こえないふりをした)

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