約束

□日常編
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モノクマとモノクマーズがステージから消えたかと思うと、モノクマだけが私の足元に現れた
驚いて、後ろに転びそうになったのを蘭太郎くんと小吉くんが支えてくれた

「そうそう、黒沢さんに渡し忘れてたみたいだったから
ボクが直々に持ってきてあげたよ」
『あ、りがとう、ございます?』

二人から手を離して、モノクマに近づく。渡されたのはモノパッドという代物らしい。小吉くんが教えてくれた
今度こそ、モノクマがいなくなるとモノパッドから音が響いた。驚いて落としそうになるのをなんとか支える
モノパッドを開くと、最初に私の名前が出た後に校則の画面に切り替わった

《・才囚学園での学園生活に期限はありません。
・学園内で殺人が起きた場合、全員参加の学級裁判が開かれます。
・学級裁判で正しいクロを指摘できれば、殺人をおかしたクロだけがおしおきされます。
・学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合、クロ以外の生徒であるシロが全員おしおきされます。
・クロが勝利した場合は才囚学園内を卒業し、外の世界に戻ることができます。
・シロが勝ち続けた場合、最後の2人なった時点でコロシアイは終了です。
・夜10時から朝8時までの夜時間は食堂と体育館の使用は封鎖されます。
・才囚学園の学園長であるモノクマへの暴力はかたく禁じられています。
・モノクマが殺人に関与することはありません。
・モノパッドは貴重品なので壊さないでください。
・死体発見のでアナウンスは、3人以上の生徒が死体を発見すると流れます。
・才囚学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられていません。
・校則違反をした生徒は、エグイサルで処分されます。》

処分…その文字に顔が青ざめて行くのが自分でもわかる
なんなの、これ。嫌だよ…こんなの…

「才囚学園の校則か…
要は、ここでのルールって訳だな」
「誰がなぜ…私達にこんな事させるのかしら…」
『…モノクマの言い振りからして、ただゲームを楽しんでいるだけかもしれませんね
内容は最低ですけど』
「でも、ルールはよく練られてるよね
ゲームとしては、つまんなくはなさそうだよ」

つまらないとか、そういう問題じゃ無いけどね
誰かを殺すゲームなんて現実でやって良いようなものじゃないし
それに人の死を側でなんて見たくない

「ふざけんなっ!
誰がこんなモンに従うかってんだ!」

解斗くんがモノパッドを振り落とそうとしたのを咄嗟に止めようとしたけど
私より先に蘭太郎くんが解斗くんの腕を掴んで止めた

「おっと、ダメっすよ
モノパッドは壊したらいけないって、校則にも書いてあるっす」
「違反したらエグイサルに処分される…って」
「校則なんて知るかっ!
オレはこんなふざけた遊びに付き合う気はねー!」
「いや、こいつは遊びなんかじゃねーっす
この状況で逆らうのは無謀っす」

今にも振り落としそうな解斗くんのモノパッドを取ると驚いた顔でこちらを見られた
ジャンプした高さは今までの最高記録だったなとか馬鹿なことを少し考えながら、守るように解斗くんのモノパッドを持つ

『と、とりあえず、落ち着いて話し合いましょう
蘭太郎くんの言う通り、モノクマ達の情報が少ない今は逆らうのは危ないですし』
「ほっとけ、ほっとけ!
救えねーバカが世界から1人減るだけだ!」
「あぁ!?誰がバカだっ!」
『美兎ちゃん、その言い方はないと思いますよ!』
「るせぇ!ツルロリが!」
『っ、ロリって…』
「もー!ケンカしてる場合じゃなーい!!」

顔を赤くしながら反論しようとしたら大きな声が響いた。声のした方を見ると、楓ちゃんが出した声だったようだ
楓ちゃんは私達をまっすぐ見たまま話し出す

「仲間同士で争ってる場合じゃないでしょ。こういう時こそ、みんなで協力しないと
…って、ホントは言葉で言うより、ピアノで1曲弾いた方が早いんだけどね
ほら、ショパンの軍隊ポロネーズだよ
一気に結束力が高まると思うんだよね」
「ボロネーゼはオレも好きだよ。トマトとお肉は食べられないんだけどね。」
『それって、油とパスタと玉ねぎしか残らないよね…それに、ボロネーゼじゃなくてポロネーズだよ
…超高校級という個性があるみんなが結束するなんて、サルカニ合戦みたいだね』

楓ちゃんの一言にみんなが賛同していく、もちろん私も
凄いな。楓ちゃんは物語の主人公みたいで…カッコイイな

「ここに私達を閉じ込めた誰かさんは、私達を争わせたいみたいだけど…
ねぇ、そうはいかないってところを見せてやろうよ!
私達はみんなで争い合うんじゃなくて、みんなで協力し合うんだよ!」

体育館全体が静まり返る
みんなの視線の先は楓ちゃんだ

「…って、なんでシーンってしちゃうの?
なんか…間違ったこと言った?」
「…いいえ、そうじゃないわ
貴女が、あまりに真っ直ぐな正論を言うから、もう他に言う事がなくなっただけよ」
「へっ…オレが言おうとしてた事を先に全部言われちまったな…
あぁ、まったくその通りだぜ!
そう簡単に諦めてどうするんだって話だ!」

解斗くんに頭をクシャクシャと撫でられた
あぁ、せっかく整えてる髪が…

「さっきは悪かったな」
『い、いえ、今度は壊さないで下さいね』
「わーってるって」

解斗くんにモノパッドを返す
良かったさっきみたいな嫌悪感がある空気じゃなくなってる
争い合うじゃなくて、みんなで協力
当たり前のことなのに出てこなかった言葉を、あんな堂々と言える楓ちゃんは凄いな

「あっ、ちょっと待って!」
「…んあ?これからって時になんじゃ?」
「えっと…もしかしたら、あんまり関係ないかもしれないんだけど…
さっき…校舎裏の草むらでマンホールを見つけたんだ」
「マンホール?」

それって、もしかして地下通路があるってことじゃ…

「とにかく、すぐに確認しに行きましょう
校舎の裏ということは…裏庭のボイラーがある所ね
獄原くん、案内をお願い」
「うん、わかったよっ!
みんな、ゴン太について来て!」

ゴン太くんに付いて走って行くみんなを、後ろから追う
走るのは苦手だけど遅れないようにしなきゃ

「迷ちゃん、見た目通り走るの遅いね〜」
『小吉くん…』
「ま、行く場所はわかってるし転ばない程度で行けば大丈夫だと思うけど
オレは早く地下通路行ってみたいんだよね。だから、少し飛ばすよー」
『え、ぇ?』

小吉くんに手を引かれ、さっきよりも早く走る。転びそうになると支えてくれるあたり優しいなと思うけど
できれば、できればスピードを落としてくださーい!!
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