約束

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『終一くん…』
今日は黒沢さんと過ごそうかな
→はい

『そうですね…外の空気でも吸いましょうか』
黒沢さんと散歩をしながら話した

黒沢さんと少し仲良くなれたようだ
プレゼント『秋色ストール』を渡した
『本当にいいんですか!?感謝感激です!』
とても喜んで貰えたみたいだ!

『あの、終一くん…長くなりますが話を聞いてもらっていいですか?』
「もちろんだよ」
『…兄の話なんですが
私の兄は中卒なんです
私は幼少から親から虐げられて…兄は高校には行かずに働いて、一刻も早く私と二人暮らしをしようと頑張ってくださったんです
私は兄が働くと同時に中学に入学したんですが、学校ではクラスメイトに家では親に虐げられて…肉体的にも精神的にも限界だった時に先生と出会ったんです

先生と言っても、学校の先生というわけではなくて私が勝手にそう呼んでいるだけで
ただの近所のお爺さんなんですけど…
先生は早くにご家族を事故で亡くしていて、私を本当の娘のように可愛がって下さいました
勉強も兄さんと2人で生きる為の知恵も貸してくださって…本当に感謝しきれないです

今は私と兄さんの二人暮らしでどうにか暮らしていますが…
先生とはもう会っていないんです。あの家に近づけば両親に見つかって連れ戻されるかもしれませんから
…兄さんは今も私の為に働いて、私を高校にまで入れてくれたのにこんな事に巻き込まれて
きっと、呆れられてますよね…私は兄さんを不幸にしかしない』
「黒沢さん…」
『すみません。長々と…私はこれで失礼します』
「あ…」

そそくさと寄宿舎に向かってしまった黒沢さんを見送る
…大事にしている妹さんを呆れるなんてあるんだろうか。いや、きっとないと思う
次はそのことを話してあげよう

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