小話集
□ 雨の日飛鳥
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六月の終わり頃。
今日は仕事は無く家でゴロゴロできる日だ。
久しぶりの休みだから有意義に使わなくては。
家の中を掃除して、洗濯をしようと思ったが今日は分厚い雲が太陽を隠してしまっている。
これでは洗濯をしても乾かないだろう。
それに昨日の夜に雨が降ったらしく湿気がすごいから余計だろうな。
とりあえずカビ対策で念入りに掃除をしていたら、
シトシト
と雨の降る音が聞こえてきた。
(雨…もう梅雨は終わったと思ったんだけどな)
掃除も一段落したことだし、この雨で涼みながら本でも読もう。
しばらく文字に目を落としていたら
パラパラ
と音が変わったので少し強くなったかな?と顔を上げた途端
ザーー
ドゴーーーン!
(うわっ!?)
急に雨が激しくなったうえに雷のおまけつきだ。
(え?なに?夕立?)
(いやこの時間帯だと…集中豪雨?)
パニックになりながらも冷静に分析しながら窓をあわただしく閉めていたとき
「うひゃー!開けて!妹子開けて!」
聞き覚えのある間抜けな声が玄関のほうから聞こえてきた。
「太子?」