secret修正入ります!2

□酒乱猫と少女と取り巻き
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「それじゃあ、お大事にね」

『お世話になりました』



無理しちゃだめよーと長年お世話になった看護士さんに見送られて、私工藤名前は要約この病院を退院することが出来たのだ。




『うわー、久しぶりのお外だよー!いい天気だねー』

「それより誰も迎えに来ないのか?お前、貧弱だから見捨てられたんじゃないのか?」



人間が嫌いになったら私が食ってやるぞと最近メタボ気味のお尻をぷりぷり振りながら、ニャンコ先生は私の隣を歩きながらこう言った。



『違うよー。パパとママはお仕事で今アメリカに居るんだって!それにお兄ちゃんはお兄ちゃんで今大変なことになってるみたいだからみんな忙しいんだよ』



私が今日退院できるようになったことを家族に伝えたところ、両親からは御祝いに行くよと言われたけれどそちらはそちらで今忙しそうなので断った。(主にパパが)



兄の場合は何故だか小さくなって小学一年生を満喫?しているらしいことと、今は訳あって蘭ちゃんの家にお世話になっていることを聞いた。




お兄ちゃんも蘭ちゃんも園子ちゃんも生憎今日は怪盗キッドがまた挑戦状を叩き付けたらしくその応戦で来れないらしい。





「おっ!名前饅頭屋があるぞ!饅頭買え!饅頭!まーんじゅーうー!!」

『駄目だよ先生。帰ったら夕飯作ってあげるから今日は我慢して!』



それに今先生メタボなんだからダイエットしないとお腹が地面にこんにちはしちゃうよ。



『夕飯何がいい?』

「グラタン」

『分かった。じゃあ材料買わないと』



それにしても久しぶりだなー。



数年前に一度退院した以来に歩く自宅までの道則。



スーパーで食材を買い終え歩き始めると感じる視線。



『先生』

「あぁ、付けられてるな」



妖の気配じゃないからこれは人間。



「お前、心当たりないのか?」

『ないよー!病院の人たちぐらいしか関わりないもん!』




まさかストーカー?



それはないよね。



『先生見て来てー』

「まったくしょうがない奴だ」




曲がり角の向こうに潜む相手に近づく先生。




徐々に距離が近まる。




「あーやっぱり!あの時のポン太だ!」

「にょっ!」



響き渡った男の人の声。




それに続くようにポン太って何だ私は先生だ!
先生と呼べバカタレが!と言うニャンコ先生。




『先生?どうしたの?大丈夫?』



そーっと角を覗けば男の人に抱きしめられている先生の姿が・・・。





「おいこら離せちんちくりん!」

「まあまあそう怒るなって!約束の饅頭持って来たんだからさ!」




そう言ってお饅頭の袋を見せる男の人。




「何!?饅頭だと!」




先生がお饅頭に気を取られている隙に男の人が話しかけてきた。




「君、工藤名前ちゃんでしょ?」

『えっ!わ、たし、のこと、ご存知なのですか?』

「勿論。って言っても顔は見たことなかったけどね」




どういうことだろうかと首をかしげて考えてみる。




「名前ちゃんにってよりは、あのポン太に助けてもらったって言った方が正しいのかな?」

『ポン太・・・先生のことですか?』

「そうそう」




懐かしいなーと空を仰ぐその人。




「俺が仕事でへまして自殺しようとした時にいきなり現れて、私は助けたくて助けたわけじゃない名前が煩いから助けてやったのだっ!・・・てね」




それからイカだ酒だ饅頭だって騒いでたなーと呟く。




「だから君たちは俺の命の恩人ってわけだ。それから名前ちゃんのことは調べ済みだからね」

『調べたんですか?』

「まーねー。喋れる猫の飼い主に興味を持ってさ!」




そうか、この人の前で先生喋っちゃったんだ。




基本的にっていうか、絶対に人に自分が妖が見えることは話していない。




先生の今の姿は仮の姿だから普通の人(見えない人)にも見えるけど、本来の姿ならば見える人にしか見えない。





「工藤名前ちゃん、帝丹中学校一年生。ご両親はあの有名な工藤優作さんと、元女優の藤峰有希子さん。それにお兄さんは高校生探偵の工藤新一君。であってるよね?」

『あたりです』

「・・・でもさ」




ぐいっと顔を近づけられ肩から腰の間を見つめられる。



『っ!・・・』




近いですという言葉は彼の声で出なかった。




「名前ちゃん、君、、本当に中学生?」

『っえ、、ぁ、、えっと』

「中学生の割には随分と発育がいいっていうか・・・」





この会話の間ずっと感じる彼の視線。




「本当に中学生なの?」




私があたふたしていると饅頭を咥えた先生が彼目掛けて突進した。




「この馬鹿ちんがー!」

「ぐぁへーっ」

「名前は高校生だ!入院のしすぎで中学生からやり直すことになったのだ!胸がでかいのは親譲りだ!因みに男嫌いだ野暮なことを聞くなこのバカタレが!」




入院のしすぎって所には引っかかるけど先生のお陰で助かった。




「そんなことよりお前は誰だ名を名乗れ名を!」

「あー言ってなかったっけ?俺は諸伏景光。外では棗光って偽名なんだけど…まあ詳しくは言えないけれど訳あって姿を隠して生活しててさ、これでも立派なお巡りさんだよ」

『諸伏さん警察の方だったんですか』

「警察には見えないがなー」

『先生、失礼なこと言っちゃ駄目だよ』

「そうだぞポン太!逮捕するぞ」

「私は先生だと言っているだろ」

「はいはい先生ね。それより名前ちゃん、俺のことはヒロでいいよ。俺と名前ちゃんの仲なんだし」

「どんな仲だ」

『、、、でも』

「ほら、呼んでみてよ。練習練習」

「何が練習だ気色悪い」

「ほら早く」

『っ、、ヒロ、、くん』

「うはっ!可愛い!可愛すぎるよポン太」

「ポン太ではない!気色悪いぞお前」



ばしばしと先生を叩くヒロ君。





「あーーヤバいな…連れて帰りたいな・・・ゼロなら許してくれるよな・・・うん、連れて帰ろう」

「お前、危ないぞ。ロリコンか?ロリコンなのか?」

「・・・よし!ポン太逮捕だ!逮捕決定!!」






逮捕できるもんなら逮捕してみろほれほれこっちだーと逃げ回る先生。



ちゃっかりお饅頭の入った袋を咥えながら走る先生を追いかけるヒロ君。




退院後の生活に不安が募る夕暮れ前。


20170316
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