secret修正入ります!2
□迷宮なしの名探偵、ジッチャンの名にかけて!
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平日の午後2時、喫茶ポアロにて安室は一人店番をしていた。
さすがに昼時は忙しく、もう一人の店員梓と切り盛りしていたが、ピークを越えたのと同時に梓のシフト時間も終わったので、彼女は一足先に帰宅していた。
平和だなと安室はカウンター内から窓の外をぼんやり眺めた。
ん?あの子は…。
一人の男性と高校生ぐらいの女の子が言い合いながらうろうろしている。
『えー!きったない店』
所々だが二人の会話が聞こえてくる。
女の子がスカートをパタパタ扇ぐ。
あ、見えた。ピンクか、可愛らしいな。おー、紐パンかー。
「………何やってるんだ俺は」
これじゃあただの変態じゃないかと安室は自身の思考に項垂れた。
「なんだ休みか」
『潰れたんじゃないの?』
あー、あの店か・・・。確かに見た目はあれだがコーヒーの味は中々だと記憶している。
それよりあの子だ。三年前に会ったっきりだが間違いない。
正確にはすれ違っただけだが、俺の大事なアイツを救ってくれた彼女、絶対にそうだ。
背丈や体つき、主に鎖骨から腰の間がげふんげふん……、、、成長しているがあの子に違いない!
来いー、こっちに来いーと手招きし、念力じみた視線を二人に送る。
「んな馬鹿な。お、あそこはどうだ!」
『喫茶ポアロ?探偵みたいな名前だな』
そうだ、そうそう、よしよし、そのままこちらに……と思った所で安室はふと自分の行為が馬鹿らしくなった。
本当どうかしてるなと、気を紛らすため仕込みをすることにした。
『ところでおじさんの奢り?』
「・・・そーだ」
彼女がこちらに来るのが視界に入った。
動く度に揺れる彼女のソレに、まあまあ大きくなってと安室は彼女が扉を開けるまで無意識のうちに凝視していた。
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『グラタンかオムライスがいいー』
生憎客は二人だけの上、店員も自分しかいないので割と自由に接客できる。
渋る彼女に無理やりハムサンドを注文させ、早く且ついつも以上に丁寧に愛情を込めて作り上げた。
何せ大事な幼馴染を救ってくれた救世主だからな。
カツカレー?そんなもん後だ!
「お待たせしました。ハムサンドです」
『おー、これが自慢の』
「ほー、中々美味そうじゃないか」
「ごゆっくりどうぞ。只今カツカレーをお持ちしますのでもうしばらくお待ち下さい」
安室はルーを煮込みながら二人を盗み見た。
あの二人はどういった関係なのだろうか。
もしかして援交?……いやいや、彼女に限ってそんなことは…。
では親子か?
「一つ貰うぞ」
『どろぼー!後でおじさんのカツ貰うから!』
おじさん?親戚か?と、考えながらルーをかけカツをのせて運ぶ。
「お待たせしました」
「おー!待ってたぞ!あっおい!」
『いっただっきまーす!』
テーブルに運ばれてすぐ少女がカツを頬張った。
『文句ばっかり言ってると全部食べちゃうよ!』
「こらっ!キンダニ!!」
キンダニ?前から手を伸ばしカレーを食べようとする少女に男性がそう言った。
彼女の名前か?それともあだ名…。
目の前で言い合いを続ける二人に安室は再び頭を悩ませた。
20170714