secret修正入ります!2

□迷宮なしの名探偵、ジッチャンの名にかけて!
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『それより高遠の居場所は?あれから進展あった?』

「いや、残念だがまだない」




名前はミルクたっぷりのコーヒーを啜り頬杖をついた。




『このまま何も起きなければいいんだけどねー』

「脱獄してもう一週間か」

『この先凄くとんでもない事件が起きるんじゃないの?』

「事件っていやー目暮のやつが言ってたが最近探偵が日に日に増えてるんだとよ」

『目暮って誰だあ?』

「あーお前は会ったことないのか。同じ警視庁の警部だ。あいつとは班が違うからな。扱う事件も違うんだ」

『へー。っつーかそんなに探偵いるの?』

「話によるとな、眠りに東西の高校生、探偵気取りの小学生に推理クイーン、それから女子高生、大学院生、喫茶探偵なんてのもいるらしいぞ!」

『すげー!そんなに探偵必要か?』

「ははは…目暮も愚痴ってたな」




剣持はコーヒーを啜り店員を呼んだ。




「コーヒーお代り」

『私も!ミルク多めね』

「かしこまりました」







_
_



『それより高遠の居場所は?あれから進展あった?』




高遠…。





「脱獄してもう一週間か」





脱獄…おそらくそれは地獄の傀儡師のことだろう。





「事件っていやー目暮のやつが言ってたが最近探偵が日に日に増えてるんだとよ」






目暮…?目暮警部のことか?






『目暮って誰だあ?』

「あーお前は会ったことないのか。同じ警視庁の警部だ。あいつとは班が違うからな。扱う事件も違うんだ」





同じ警視庁の警部ってことは、この男性も警視庁の警部……つまりこっち側の人間ってことか。






「話によるとな、眠りに高校生、探偵気取りの小学生に推理クイーン、それから女子高生、大学院生、喫茶探偵なんてのもいるらしいぞ!」







眠りというのはこの店の上に拠点を構える毛利小五郎のことだろう。




探偵気取りの小学生は最も敵にまわしたくないあの少年。





安室は続く大学院生という言葉に一瞬あの胡散臭い男を思い出しハンカチを噛みしめたい思いに陥ったが、その後に続けられた喫茶探偵という言葉に、あー俺のことかと苦笑いした。








「コーヒーお代り」

『私も!ミルク多めね』

「かしこまりました」






安室は新しくコーヒーを淹れなおすと二人に話しかけた。






「警視庁の警部さんなんですか?」

「ああ、剣持だ。で、こっちはキンダニ」

『金田一だーっ!』

「悪い悪い。いつもの癖でな」

「ははは」




目の前で繰り広げられるコントのような会話に安室は顔を引き攣らせた。




『金田一名前』

「安室透です」




安室は名乗りながら右手を差し出した。





『……』

「……」

『まだコーヒー飲み終わってないよ?』

「え?」

「馬鹿!人が名乗りながら手を差し出したら握手に決まってるだろうが!」

『えー!そうかなあ?』

「嫌ですか?」

『嫌じゃないけど、自己紹介で握手したことないから』

「そうでしたか」

『まあいいけど』




名前は右手を差し出し握手を交わした。






そんな二人をコーヒーを飲みながら見ていた剣持が思い出したように切り出した。





「そういやぁ萩原が寂しがっていたぞ。メールは返してくれるのに電話には出てくれないって」

『あー、だってあの人煩いんだもん!地味に長電話だし』





安室は名前との握手に満足し仕事に戻ろうと引き返そうとした。





その時、名前の電話が小さく振動した。




『げっ!噂をすれば何とやらだ』




名前は大層気だるげに応答した。




『何か用?』

「”酷いよ名前ちゃん!なんで俺の電話には出てくれないの?”」






相当興奮しているのか相手のダダ漏れの声量に安室は小さく笑いながら仕事に戻った。





『煩いよ!ねーそこに松田さんいないの?ねー聞いてる?萩原さん!松田さんはー?』






松田、萩原の懐かしく親しい名に安室は名前を凝視し、一人静かにほほ笑んだ。



20170716
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