secret修正入ります!2
□茜さす
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01.
幼い頃から人には見えないものが見えた。
当時はまだ子供で、人と妖の区別も碌につかず、場所も考えずに話しかけたりしていた。
そのせいか、周囲の人間には気味悪がれ、その反対に妖には追いかけまわされる日々。
何で私ばかり・・・。どうして私が・・・。どうして?
だから私は人が嫌い。妖が嫌い。
見えぬもの
人の子だ、人の子がいるぞ。お前私のことが見えるのか?
あぁまただ、厄介なものに見つかった。
今回のはいつもより相当しつこい。
「待て人の子」
『待たない』
先生は何処に行ったの?用心棒のくせに役に立たないんだから!
「待てと言っているだろう」
『きゃっ』
妖しに突き飛ばされ首を絞められる。
「ふはは、人の子ごときが」
意識が遠のく中、最後に見えたのは今までいなかったはずのニャンコ先生の姿だった。
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「全く、また厄介なものに捕まりおって」
何だかんだ言いながらもニャンコ先生は私を助けてくれる。
”お前を喰うのは私だ。今は暇つぶしがてらお前の用心棒にでもなってやろう。報酬は酒でいいぞ。それから私のことは先生と呼べ”
その日以来私と先生は一緒に過ごすようになったのだ。
『ここどこ?』
「何?お前分かってて歩いていたのではないのか?」
『知らないよ。先生が勝手に前を歩くから付いて来ただけだもん!』
先生のせいだ、お前が悪いと言い合いながら歩いていると広い墓地に出た。
ひゅーと生温かい風が吹き抜ける。
『何か出そう・・・』
「妖ものの匂いがプンプンするな」
何かあるぞと言う先生の言葉に名前は早く帰ろうと走り出したその時、目の前に三人の男がスーッと現れた。
『出たーっ!』
「にょっ!」
先生と共に固まっていると、一人の男が話しだした。
「悪い悪い。別に驚かせるつもりはなかったんだ。ただ俺たちは君に話があってさ」
『話?』
「ああ、ちょっと頼まれて欲しいことがあるんだ」
「ちなみにお前に拒否権はねーぞ」
『何故ですか!?』
「お前、見えるんだろ?俺たちのことが」
『そりゃー見えますよ』
名前は不思議そうに彼らを見上げた。
「でもなお譲ちゃん・・・俺達死んでるんだよ、とっくの昔にな」
『っ!』
「そうか、だからお前たちから妙な匂いがするのだな」
『先生にも分からなかったの?』
「こいつらは”妖”ではないからな。いくら私ぐらいの大物でも容易く生きている人間と死んでいる人間の区別はつかん」
『そうなんだ・・・』
「で、頼まれてくれるか?」
『一応話ぐらいは聞きますよ』
「お前また首を突っ込むきか?」
『妖じゃないから大丈夫だよ』
「…何かあっても私は知らんぞ」
20170503