マイソロ2
□Valentine's Day
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少しお腹が空いたから、ふらりと食堂へ足を運んだ。
入口のドアを開けるとなにやら甘い香りが辺りに立ち込める。
またユーリがお菓子でも作っているのかと思えば、クレアやリリス、それから滅多に厨房に立たないクロエ達がそこにいた。
「甘い…」
部屋に入って誰に話し掛ける訳でもなく、作っているそれが気になった。
多分…チョコレート。
「あ、リティ。調度よかった」
オレの声に気がついて、クレアが笑顔で振り向く。
その手にはチョコレートのケーキを持っていた。
「美味しそう」
思わずよだれが零れそうになる。
「味見してくれるかしら?」
「うんっ!」
クレアのおいしい言葉にオレは素直に頷いた。
小さな丸い形のケーキにフォークを刺す。一口で食べれる大きさに割ってみると、中からとろりとチョコが流れてきた。
「…?これ生焼け?」
「それはフォンダンショコラっていって、中から溶けたチョコが出てくるケーキなの」
「へぇ…」
ユーリと何度もケーキを作ったケド、こんなケーキは初めて。
それにしても、今日は食堂に女の子達ばかりがいる。しかもその誰もがチョコレートのお菓子を作っていた。
「なんでみんなチョコ作ってるの?」
「あ、それはね…」
「大好きな人に思いを込めたチョコをあげる日なのだ!」
ガバッと誰かがオレに抱き着いてきた。
その誰かは言わなくてもわかる。ラファールだ。
「大好きな人…ラファールは誰かにあげるの?」
「ボクはみんなにあげる用を作ってんの。誰だってチョコ欲しいだろ?」
「オレも作る!ねぇ、作っていい?」
「もちろん!」
大好きな人と聞いたとき、すでにオレの頭の中はスパーダでいっぱいだった。