マイソロ2

□Valentine's Day
1ページ/3ページ


少しお腹が空いたから、ふらりと食堂へ足を運んだ。

入口のドアを開けるとなにやら甘い香りが辺りに立ち込める。
またユーリがお菓子でも作っているのかと思えば、クレアやリリス、それから滅多に厨房に立たないクロエ達がそこにいた。

「甘い…」

部屋に入って誰に話し掛ける訳でもなく、作っているそれが気になった。
多分…チョコレート。

「あ、リティ。調度よかった」

オレの声に気がついて、クレアが笑顔で振り向く。
その手にはチョコレートのケーキを持っていた。

「美味しそう」

思わずよだれが零れそうになる。

「味見してくれるかしら?」

「うんっ!」

クレアのおいしい言葉にオレは素直に頷いた。

小さな丸い形のケーキにフォークを刺す。一口で食べれる大きさに割ってみると、中からとろりとチョコが流れてきた。

「…?これ生焼け?」

「それはフォンダンショコラっていって、中から溶けたチョコが出てくるケーキなの」

「へぇ…」

ユーリと何度もケーキを作ったケド、こんなケーキは初めて。
それにしても、今日は食堂に女の子達ばかりがいる。しかもその誰もがチョコレートのお菓子を作っていた。

「なんでみんなチョコ作ってるの?」

「あ、それはね…」

「大好きな人に思いを込めたチョコをあげる日なのだ!」

ガバッと誰かがオレに抱き着いてきた。
その誰かは言わなくてもわかる。ラファールだ。

「大好きな人…ラファールは誰かにあげるの?」

「ボクはみんなにあげる用を作ってんの。誰だってチョコ欲しいだろ?」

「オレも作る!ねぇ、作っていい?」

「もちろん!」

大好きな人と聞いたとき、すでにオレの頭の中はスパーダでいっぱいだった。

 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ