無双
□Memory
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身体が重い…。
傷の痛みなどとうに感じなくなっていた。
「何故避けなかったのですか…」
そうだな…かわそうと思えば出来たが、それはする必要がなかった。
お前の手で逝くなら…それもいいと思った。
何よりも、お前のいない世界を生きる自信がないから。
…何故そんなに泣く?これで呉は勝利だ。
三国は孫呉によって統一される…お前が泣く意味などないのだ。
「お願いします……死なないで……」
「ふっ……馬鹿…みたいに…泣く……な…」
涙の雫を落し続けるお前を引き寄せ、そっとくちづけを…。
どうせ最後だ……こんな言葉も言ってみるか。
「…愛してる」
そう言ったらすべてが終わった気がした。
何も聞こえない
何も感じない
ただ暗闇に自分だけがいる錯覚
恐怖はない
いつかお前が戦が終わればいいと言ったその日から、私はお前に殺されようと思った。
私が死ねば戦は終わる。
それに私とお前は敵同士。
戦場であってしまえば戦わなければならない。
……私は死ぬことよりも生き続ける方が恐いのだ。
お前は死ぬことを恐れたから、お前が選んだ道を私は選ばなかった。
運命だったのだ。
始めから全てが決まっていた。
だからあえて願おう。
もう一度…お前と逢えるように。