口の悪い人魚姫

□第一章 雄英高校ヒーロー科
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前回のあらすじ
蓑虫。

「最下位除籍って……!入学初日ですよ!?いや、初日じゃなくても…理不尽過ぎる!!」
「自然災害…大事故…身勝手な敵たち…いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったらお生憎。これから3年間雄英は君達に苦難を与え続ける。『プルス ウルトラ』さ。全力で乗り越えてこい」

うーむ…どっしよっかな…水場なら最強なのに…

「奏」
「何、勝己」
「お前に勝ち目はねぇな」
なんだ、その勝ち誇った顔は。
「いや、あるよ。―—――先生!飛び道具とかいいんですよね!?」
「どんなものだ」
「クナイとか手裏剣とかです。もう学校には申請してあるんですけど…」
「人に当てなければいい」
「ありがとうございます!」

よし、これでソフトボール投げはなんとかなるな。

さて、四種目まではなんとかなった。
次はソフトボール投げ。
計測用のボールは勝己の爆風に煽られても壊れなかったし、丈夫な作りなんだろうから…
なら、簡単な起爆剤をクナイにつけて…投げたあとに追い撃ちで…
これなら多少は得点稼げるか…

「次、魚住」
「はーい。―—―――っらぁ!!」

計測用のボールをぶん投げ、後を追わせるように起爆剤付きのクナイを投げた。
上空で爆発を起こし、その爆風に煽られてボールは本来落ちるはずの場所からはかなり離れた所に落下した。

「250Ⅿ」
「うーむ……」
「さっき何投げたんだよ」
「起爆剤つきクナイ。勝己と同じ原理でやった」


「緑谷くんはこのままだとまずいぞ……?」
ボール投げの計測は出久の番になった。
「ったりめーだ。無個性の雑魚だぞ!」

勝己は出久を馬鹿にしたように言う。

「勝己!!言い方!」
「無個性!?彼が入試時に何を成したのか知らんのか!?」
「は!?」
「飯田くん、出久何したの?」
「それが―――――」

どうにも、飯田君は入試の時出久と同じ会場だったらしい。
それで飯田君が教えてくれたのが―――

0P敵をぶん殴って倒した...

「あの出久が……?」

私の記憶の中でも出久は個性がない。個性を使っているのなんて一度も見たことがなかったし、本人から無個性だって言われたんだ。四歳の頃からずっと見てきたんだ。間違えるはずない。

「―—―個性を消した」
「ん、なんじゃ」

相澤先生が出久に近づいて何を話しているようだった。

「つくづくあの入試は…合理性を欠くよ。おまえのような奴も入学出来てしまう」
「消した…!!あのゴーグル…そうか…!抹消ヒーローイレイザーヘッド!!!」
「相変わらず詳しいなぁ、出久は」
「見たとこ…個性を制御出来ないんだろ?また行動不能になって誰かに救けてもらうつもりだっか?」
「どういうこと?」

本人にしかわからない内容のようだ。

「彼が心配?僕はね…全っ然」

ナルシストっぽい人が話しかけてきたけど、無視して出久を見た。

「指導を受けていたようだが」
「除籍宣告だろ」
「出久ーガンバー」
「てめぇ、なんでデクの応援すんだよ!!」
「幼馴染なんだからいいでしょ。あんただけの幼馴染じゃないし」
「へー幼馴染なんだー」
「うん。中学は別々だったけどね。あ、私、魚住奏」
「麗日お茶子!よろしく!」

麗かだ。

SMASH!!!!

「!」
出久の個性、増強型かな。
使った部分ボロボロ。まるでつい最近個性が発現して制御が出来ないみたいな…

「やっとヒーローらしい記録出したよー」
「指が腫れ上がっているぞ。入試の件といい…おかしな個性だ。」
「スマートじゃないよね」
「どー言うことだ!こらワケを言え!!デクてめぇ!!」
「うわあああ!!」

キレた勝己は掌に力を込めてあっという間に私の隣から消えて出久の方に走っていこうとした。

「勝己ぃぃ!?」
「んぐぇ!!ぐっ…んだこの布固っ…!!」
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ『捕縛武器』だ。ったく何度も個性を使わすなよ…俺はドライアイなんだ」

強い個性なのにもったいない…



全種目の測定が終わり、結果発表―――

「んじゃ、パパっと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので、一括開示する。因みに除籍はウソな」
「……!?」
「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

想像の斜め上からの発言になんと返せばいいのかわからない私達。

「あんなのウソに決まってるじゃない…ちょっと考えればわかりますわ」

わかりませんでしたわ、私。

「そゆこと。これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから目ぇ通しとけ」

教室に戻る道すがら結果の順位を思い出す。
―――そういえば珍しいな……
勝己が『一番』じゃない。



放課後―—―

「勝己〜帰ろー」

窓際の席に不機嫌に座る勝己に声をかける。

「あ?」

もう口悪く返ってくるのはテンプレだ。
相変わらず目付き悪いし…
つーか体力テストからずっと機嫌悪い…

「いつまでも拗ねるなよ、子供か」
「うっせーー!!」

子供だな、勝己ってば…

「ほら、帰るよ。勝己」
「つか、奏んちどこだよ」

送ってくれるつもりだったんか……
くそう!大好きだよコノヤロー!!
もう何度目になるのかもわからないよ、勝己に惚れ直すの。

「勝己の家の隣だよ。戻って来たの」
「は……」
「またよろしくねー♪」


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