口の悪い人魚姫
□第三章 未知との遭遇
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前回のあらすじ
クソ髪野郎!!
「えっと…ここは倒壊ゾーン…出れば目の前がセントラル広場だから…相澤先生が大勢をひきつけてると思うよ」
「じゃあ、外出たら入り口に向かってお前をぶん投げる」
「はあっ!?それは無理!死んじゃう!!多分着地できない!!」
「怪我してもすぐ治るだろ」
「痛いもんは痛いよ!!」
「んだよ、根性ねえな」
「これは根性どころじゃねえと思うんだかなぁ…勝己…てか、私も行くよ!」
「―—―あ、オールマイト!!」
「ってことは…誰かが連絡に行ったのか…これなら応援のヒーローがすぐ到着出来るんじゃない?」
「そうだな」
あれ…出久か…向こうは相澤先生…ヤバい、怪我してる…
「私、相澤先生の治癒してくる。モヤはお願いね」
「俺に指図すんな」
「はいはい…」
「梅雨ちゃん!!」
「奏ちゃん」
「相澤先生は!?」
「かなりやられたわ」
「わかった。―—―っ……」
「おいおい自分で傷つけて何してんだ…!」
「先生、口開けてください…血で治癒します!」
私の腕から血を一滴落とした。
「…これで少しはよくなると思うんだけど…」
「すごいわね、奏ちゃん」
「私はサポートしか出来ない個性だからね。他に怪我した人は?」
「緑谷ちゃんが指を…」
「個性の反動か…私、出久の方行くね」
「おい、足手まといになっちまうぞ!!」
「私なら…囮になれる可能性があるから…大丈夫」
オールマイトが狙いでも…私の血肉ならどんな敵でも欲するはず…
囮にならなれる…!
「出久!」
「奏ちゃん…!」
「血!飲んで!!」
軽く傷付けた腕を出久の前に出した。
「…う、うん…」
「多分、出久のは治りが遅いよ…骨がボロボロ…」
「ゴメン…」
「出入り口を押さえられた…こりゃあ…ピンチだなぁ…」
「このウッカリヤローめ!やっぱ思った通りだ!モヤ状のワープゲートになれる箇所は限られてる!そのモヤゲートで実体部分を覆ってたんだろ!?そうだろ!?全身モヤの物理無効人生なら『危ない』っつー発想はねえもんなあ!!!」
「ぬうっ…」
「っと動くな!!『怪しい動きをした』と俺が判断したらすが爆破する!!」
「ヒーローらしからぬ言動…」
顔がヒーローしてねぇよ、コイツ…
「攻略された上に全員ほぼ無傷…凄いなぁ最近の子供は…恥ずかしくなってくるぜ、敵連合…!脳無、爆発小僧をやっつけろ。出入り口の奪還だ」
「!?」
「身体が割れてるのに…動いてる…!?」
「皆、下がれ!!なんだ!?ショック吸収の『個性』じゃないのか!?」
「別にそれだけとは言ってないだろう。これは『超再生』だな」
「!?」
個性がふたつ…?
「脳無はお前の100%にも耐えられるように改造された超高性能サンドバッグ人間さ」
速い!!
「かっちゃん!!!」
「勝己!!」
「かっちゃん!!?」
「え…」
吹き飛ばされてない…?
「よっ避けたの!?すごい…!」
「ちげえよ、黙れカス」
「!」
オールマイトが庇ったのか…
「ゴホッゲホ…………加減を知らんのか…」
「―—――—――—――何が平和の象徴!!所詮抑圧の為の暴力措置だ、お前は!暴力は暴力しか生まないのだとお前を殺す事で世に知らしめるのさ!」
「滅茶苦茶だな。そう言う思想犯の眼は静かに燃ゆるもの。自分が楽しみたいだけだろ、嘘付きめ」
「バレるの早…」
「3対6だ」
「モヤの弱点はかっちゃんが暴いた…!!」
「とんでもねえ奴らだが俺らでサポートすりゃ…撃退できる!!」
「ダメだ!!!逃げなさい」
「……さっきは俺がサポート入らなけりゃヤバかったでしょう」
「オールマイト、血……それに時間だってないはずじゃ…」
「取り敢えず私の血で回復を……」
「それはそれだ轟少年!!ありがとな!!魚住少女、気持ちはありがたいけど、生徒の血を飲むって教育上よろしくないからね!!しかし、大丈夫!!プロの本気を見ていなさい!!」
「脳無、黒霧やれ。俺は子供をあしらう。―—――ついでに、不死の人魚姫を頂いていこうか。クリアして帰ろう!」
「ひっ…!」
私を狙ってる…皆を巻き込む訳には………!
私が竦んだ足を動かそうとした時、オールマイトが凄まじい威圧感を出した。
これが…平和の象徴…!
オールマイトの実力は凄かった。
脳無って奴に対して全てが100%以上で撃ち込んている…!
そして、脳無を外に吹き飛ばした。
「……漫画かよ…ショックをない事にしちまった…究極の脳筋だぜ。デタラメな力だ…再生も間に合わねえ程のラッシュって事か…」
これが…プロの…
「流石だ…俺達の出る幕じゃねえみたいだな…」
「緑谷!ここは退いた方がいいぜ、もう。却って人質にされたらやべぇし…」
「出久…?」
「主犯格はオールマイトがなんとかしてくれる!俺たちは他の連中を助けに…」
「緑谷」
出久は飛び出した。オールマイトに向かって。
「な…緑谷!!?」
「オールマイトから離れろ!!」
「2度目はありませんよ!!」
「!!!」
ズドっと手人間の手に銃弾が当たったようだった。
「来たか!!」
「ごめんよ、皆。遅くなったね。すぐに動ける者をかき集めてきた」
「1-Aクラス委員長飯田天哉!!ただいま戻りました!!」
「飯田くん…!」
「あーあー来ちゃったなろゲームオーバーだ。帰って出直すか、黒霧…」
敵は撤退していった。
でも、これで終わるわけでないと思うけど……
「奏ーーー!!!!大丈夫かーー!!?」
「…お、お兄ちゃん!!?」
駆け付けた先生たちの後ろに兄がいた。学校に用があったのだろうか。
「ゲッ」
隣で勝己が心底嫌そうな顔をする。
「奏ー大丈夫か!?何もされてないか!!?」
「だ、大丈夫だよ…」
「ホントか!?腕から血、出てるぞ!!?」
「先生と出久を治癒するのに使っただけだから…」
「そ、そうか…?ーーーん、おーおー勝己君じゃないですかぁ?」
「どーもお義兄さん」
「てめぇにお義兄さんと言われる筋合いはねぇよ!!!」
「んだと!!?」
「ちょっと、お兄ちゃん…勝己も…やめなって…」
昔からなぜか私の兄、魚住雪斗と勝己は仲が悪い。会えば今みたいにケンカ腰で会話してしまう。
「てめぇみたいなチンピラにうちのかわいい妹はやれねえよ!!」
「てめぇぶっ殺して奪ってやらぁ!!」
いつもの事だから慣れているんだけど…人前でこういうのはやめて欲しいんだけどなぁ……
「(公開プロポーズ………)」
「二人とも……―—―――やめろって言ってんだろーが!!!!」
「奏…」
「やめろってのが聞こえなかったのか?クソ兄貴?あ゛?」
「ご、ゴメンナサイ……」
「(魚住こえー)」
「(二重人格…)」
「勝己も勝己だ……んなクソ兄貴の挑発にのってんじゃねえよ」
「………………おい、素が出てんぞ、奏」
「はっ!!あーやってしまった」
我に帰って赤くなった顔を隠す。
勝己の前なのに……
その後、警察も到着し、事態は集結した。
出久の個性による反動の重傷を除いてクラス全員無事。
先生達は重傷だったが、3人とも命に別状はなかった。
取り敢えずよかった。