口の悪い人魚姫

□第一章 雄英高校ヒーロー科
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始まりは中国軽慶市。
発光する赤子が生まれたというニュースだった。以降、各地で超常は発見され、原因も判然としないまま時は流れる。
いつしか「超常」は「日常」に……「架空」は「現実」になった。

そんな私も超人社会の一員である。
個性は「人魚」。
人魚っぽいのなら何でも出来て、歌で人を惑わす事が出来る。
あんまりヒーロー向きではない。派手じゃないし、攻撃系の個性じゃない。

小さい頃から一緒にすごしてきた幼馴染。
二人もヒーローになることが夢。
爆豪勝己。個性は「爆破」。
派手でカッコよくて……ヒーロー向きの個性。
緑谷出久。個性がない。でも、誰よりヒーローが大好き。
勝己はいつも出久をいじめる。何も出来ない木偶の坊って言って。
でも、勝己は優しいんだ。いつも私を守ってくれて。私のヒーローで、大好きな人。

小学校の終わり、中学入学を境に私は引っ越すことになった。
離れ離れになるけど、同じ夢を目指していればまた会えるって思って、中学で頑張った。
そして、私は雄英高校に進学する。



雄英は多くのヒーローを輩出してきた高校だ。
ヒーロー科の最高峰だ。倍率は毎年300を越える。

こんな凄い所に受験する理由は、勝己に会えると思ったから。
もちろん、ヒーローになりたいからでもある。
まあ、人が多くてわかるものも全く分からなかったけどね!!!!

実技試験は仮想敵を行動不能にするって内容。
私の個性じゃ不利だけど、地力の戦闘力で頑張った。
そして、同じ会場からずっと爆音がするんだが……
まさか、ね……

一週間後―—――
雄英から手紙が届いた。
映像にオールマイトが映ったのは驚いた。つい、椅子から転がり落ちてしまった。
結果は合格。
転がり落ちて痛む頭をさすりながら、私は安心して息をついた。



そして、待ちに待った春。
入学初日、真新しい制服に身を包み、雄英へ向かった。
クソでかい校舎にクソでかい扉に少しばかり気後れしながら教室のドアを開けた。

1-A

もうかなり人が来ている。そこに、見覚えのある色素の薄いツンツン頭が不機嫌に座っていた。
「勝己!!」
いの一番に大好きな人の名を呼んだ。
「あ?」
最後に会った頃より少し低くなった声に時の流れを感じさせたけど、根本的なところは変わっていなかった。
「会いたかったよ!!勝己!!」
周りの目なんか気にせず勝己に抱きついた。
「てめぇ!!誰だよ!!」
「忘れたって言うの!?私だよ!私!魚住奏!!」
「……か、奏?」
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