口の悪い人魚姫

□第一章 雄英高校ヒーロー科
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前回のあらすじ
魚住が爆豪に抱きついた。


「は、奏……?」

突然の事にさすがの勝己も思考が追いついていないようだ。

「そーです!奏ちゃんです!」

にしても、勝己ってば、イケメンになったなーちょっと強面だけど。

「君達!周りの目を気にしたらどうだ!」

なんか四角いな、この人……

「それに、机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?」
「思わねーよ!てめーどこ中だよ端役が!」

不良のテンプレのようなセリフを言う勝己。

「ちょっ……勝己……」
「ぼ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」
「聡明〜〜〜?クソエリートじゃねぇか。ぶっ殺し甲斐がありそうだな」
「君ひどいな。本当にヒーロー志望か!?」

(まったくですよ、飯田くん)

心の中で飯田君に相槌を打った。

「見ない間に口悪くなりすぎじゃない?」
「うるせぇ、離れろ。貧乳」

私の堪忍袋の緒が切れる音がした。

「だぁれが貧乳だって……?」

勝己が足をかけていた机を殴りつけた。
「ざけんじゃねぇぞ、バカツキ!!!!」

これでも、Cはあるぞ!!

「―—―か、奏ちゃん……?」
「あ"?―—――—―出久!!」

もう一人の幼なじみ、緑谷出久が教室の入り口の前に立っていた。

「久しぶりだね、奏ちゃん……」
「久しぶり!出久!!まさか、出久も雄英にいたなんて!!」
「また会えて嬉しいよ、奏ちゃん……」

久し振りの幼なじみとの再会に私は出久の手を取って喜んだ。

「デク……」
まだあのあだ名で呼んでるのか…

「勝己の機嫌がすこぶる悪いんだけど……なんで?」
「ちょっと、ね……」

というか、無個性の出久がどうして雄英に?
中学に入ってから発現したのかな…?

「相変わらず奏ちゃんはかっちゃんに対してボディータッチ多いよね」
「そうかな?」

出久の言葉に自覚がない私は小首をかしげた。

「今日って式とかガイダンスだけなのかな?先生ってどんな人なんだろうね、緊張するよね」

ほわっとした雰囲気の人が出久に話しかけるも、出久は私以外の女の子には免疫がないのでしどろもどろに答えていた。

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここは……ヒーロー科だぞ」

私たちが立っていた後ろに蓑虫のようなのがいた。まあ、蓑虫と言っても、寝袋にくるまっている髭面のおっさんだけども。

「ハイ、静かになるまでに8秒かかりました。時間は有限。君達は合理性に欠くね」

もそもそと起き上がる蓑虫のような人。口ぶりから見るにこの学校の先生っぽい。

「てことは…この人もプロのヒーロー?」
「出久、知ってる?」
「うーーん…」
「担任の相澤消太だ。よろしくね」

担任かよ!?

「早速だが体操着を着てグラウンドに出ろ」
早速すぎやありませんか、先生。

「個性把握テスト!?」
「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る暇ないよ」
「...!?」
「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側も然り。」

つまりどういうことだってばよ。

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50メートル走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろ?個性禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録をとって平均を作り続けている。合理的じゃない。まあ、文部科学省の怠慢だよ。」

「個性把握テスト」って言うからには、この種目を個性発動させてやるって言うことなのかな?

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何メートルだった」
「67Ⅿ」
「じゃあ、個性使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ。思いっきりな」
「んじゃまあ…………死ねぇ!!!」

何でそのセリフなのかね。よりにもよってそれを言っちゃうかな。

「まず、自分の「最大限」を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
「なんだこれ!!すげー面白そう!」
「705Ⅿってマジかよ」
「個性思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」

クラスの人たちが口々に軽い声を上げる。
それにしても、どうしよっかなー運動神経はいいほうだし、なんとかなるかなー

「…面白そう……か。ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よし、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」
「はあああ!?」

こいつぁ…ヤバイね…
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