この的も貴方の心も射抜いてあげましょう。
□MONSTER GENERATiON
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帰宅した女―――小鳥遊結実は堂々と事務所に入って来た。
「あれ、紡いないの?」
室内を見まわして呟いた。
「だ、誰?」
「お客さん?」
「何かマネージャーに似てないか?」
7人ほどのイケメンたちがざわざわと結実を見てきた。
「あのさぁ――」
「あ、結実ちゃん、もう帰って来てたんだ。」
部屋の奥から見知った男が出てきた。
「万理さん。父さんには連絡入れたんだけど、伝わっていなかったみたいだね。紡は?」
「ちょっと外に出てるよ。すぐ戻ると思うよ。」
「ん、そっか。」
結実が紡との再会を楽しみにしていると、イケメン7人組の存在を再認識した。
「万理さん、こいつらが…?」
「そうだよ、紡さんがマネージメントしてる――――」
「懐石弁当だっけ?」
しばらく前に万理に教えてもらったグループ名を口にする。
「違う違う。今はIDOLiSH7だよ。紡さんがつけたんだ。」
「へぇ、紡はいいセンスしてんな。」
結実がうむうむと感心していると、黒髪のイケメンが前に出てきた。
「貴方は一体何者なんですか?事務所の関係者なようですが…」
結実が万理をチラリと見やると自己紹介をしなさいと言わんばかりの顔をしていたので、一息ついて、言葉を紡いだ。
「私は、小鳥遊結実。アンタたちのマネージャー、小鳥遊紡の姉。んで、この事務所の娘。ちなみに新卒の22歳。」
「じゃあ、大和さんと同い年だなー」
「ああ。」
小柄なイケメンとメガネのイケメンが話していた。
メガネの方が結実と同い年らしい。
「すみません、戻りました〜」
紡が帰って来た。
「おかえり〜紡。」
「ただいま、お姉ちゃん…ん?お姉ちゃん!?」
「やあ。」
驚く妹に、あっけらかんと笑う姉。
どこか似ているが、中身は全く違うようである。
「うん、全員揃ったようだね。」
社長室からきなこを抱えて音晴が出てきた。
「あ、父さんただいま。」
「うん、おかえり。結実。それじゃ、全員いるから早速用件を話すよ。————まず、そこにいる結実は今日から小鳥遊事務所の社員だ。結実の仕事は———紡の補佐、つまりは、IDOLiSH7のマネージャー補佐だよ。」
「はーい。」
結実がのんびり返事をした。
「結実は経済学部を出たから、経営の面でも働いてもらうよ。」
「その為に大学行ったっての。」
こうして結実の社会人としての生活がスタートした。